戸籍謄本とは、戸籍の原本を全てコピーして、市区町村長名と公印等を押して公的に証明した書類のことです。
「謄」とは「全文写し」の意味で、戸籍に記載されている全員の身分関係を証明する情報が記載されています。

戸籍に記載されているのは、出生・死亡・婚姻・離婚・縁組・離縁など、人生における重要な項目です。

今回は、葬儀後の手続きで戸籍謄本が必要になるタイミングや、申請の方法について説明します。

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死亡後に戸籍謄本が必要になる場面

遺言・相続・保険金の請求

遺言書の検認(けんにん)

公証役場で公証人に作成してもらった公正証書遺言の場合は必要ありませんが、自筆証書遺言や秘密証書遺言を開封する場合に必要になります。

必要な戸籍謄本は、故人と相続人全員、受遺者(遺言で財産の贈与を受ける人)のものになります。
提出先は、故人の住所のある家庭裁判所で、提出期限はありませんが、なるべく早く提出したほうがいいでしょう。

提出する書類はこのほか、開封・閲覧していない遺言書原本が必要です。

相続税の申告・納税

相続する財産が基礎控除額を上回った場合に必要になります。

必要な戸籍謄本は故人と相続人全員のものになります。
提出先は故人の住所のある税務署で、提出期限は死亡の翌日から10カ月以内です。

提出する書類はこのほか、申告書、住民票、住民除票、印鑑証明書などが必要になります。

生命保険金の請求

故人が生命保険に加入していた場合、死亡保険金の請求に必要です。

必要な戸籍謄本は故人と保険金受取人のものになります。
提出先は契約していた保険会社で、提出期限は死亡から2年以内です。

提出する書類はこのほか、死亡保険金請求書、保険証券、最後の保険料領収書、死亡診断書、受取人の印鑑証明書などが必要になります。

遺族年金の請求

国民年金の遺族基礎年金請求

故人が国民年金に加入していた場合、故人の収入で暮らしていた未成年の子どものいる妻、または子どもには年金が支給されます。

必要な戸籍謄本は故人のものになります。提出先は故人の住所の市区町村国民年金窓口で、死亡から5年以内です。

提出する書類はこのほか、国民年金遺族基礎年金裁定請求書、故人の年金手帳、死亡診断書のコピー、源泉徴収票、印鑑、振込先口座通帳または口座番号などです。

遺族基礎年金が支給される条件は、故人が保険料を納付している期間(免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あり、亡くなった月の2カ月前までの1年間に保険料の未納がないことです。

国民年金の寡婦年金請求

国民年金保険料の納付済期間(免除期間も含む)が25年以上ある夫が、年金を受け取らないうちに亡くなった場合、故人と暮らしていた妻には寡婦年金が支給されます。

必要な戸籍謄本は故人のものになります。提出先は故人の住所の市区町村の国民年金窓口で、提出期限は死亡から2年以内です。

提出する書類はこのほか、国民年金寡婦年金裁定請求書、故人の年金手帳、死亡診断書のコピー、妻の所得の証明書、印鑑、振込先口座通帳または口座番号などです。

寡婦年金が支給される条件は、結婚期間が10年以上ある子どものいない妻で、65歳未満であることです。

厚生年金の遺族厚生年金請求

厚生年金保険料の納付済期間(免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上ある人が、以下のケースで亡くなった場合、遺族には厚生年金遺族年金が支給されます。

  • 厚生年金加入者が在職中に死亡したとき
  • 退職などで厚生年金から脱けた後、厚生年金加入中に初診日のある疾病によって初診日から5年以内に死亡したとき
  • 老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき
  • 1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき

必要な戸籍謄本は故人のものになります。提出先は故人の勤務先を所管する社会保険事務所で、提出期限は死亡から5年以内です。

提出する書類はこのほか、遺族厚生年金裁定請求書、故人の年金手帳、死亡診断書のコピー、受取人の所得の証明書、住民票のコピー、印鑑、振込先口座番号などです。

遺族厚生年金の受給者には、国民年金の遺族基礎年金も支給されます。

名義変更

不動産の名義変更

故人の所有していた土地・建物などの不動産を相続する場合は、登記簿の名義変更が必要です。

必要な戸籍謄本は故人と相続人全員のものになります。提出先は地方法務局で、提出期限は相続が確定した後なるべく早く出したほうがいいでしょう。

提出する書類はこのほか、登記申請書、改製原戸籍謄本および住民票除票、印鑑証明書、相続する人の住民票、遺産分割協議書、固定資産評価証明書などです。

預貯金の名義変更

故人の名義になっている金融機関の口座は、金融機関が死亡を確認してから相続が確定するまで凍結されます。
遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、口座の名義人を相続人に変更します。

必要な戸籍謄本は故人の出生から死亡までのものと、相続人全員のものになります。提出先は口座のある金融機関で、提出期限は相続が確定した後なるべく早く出したほうがいいでしょう。

提出する書類はこのほか、名義変更依頼書、改製原戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(コピー)、通帳などです。

株式の名義変更

故人名義の株式は、死亡届が受理された直後から売買できなくなります。遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、株式の名義人を故人から相続人に書き換えます。

必要な戸籍謄本は故人と相続人全員のものになります。提出先は証券会社または株式発行法人で、提出期限は相続が確定した後なるべく早く出したほうがいいでしょう。

提出する書類はこのほか、株式名義書換請求書、株券、改製原戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書などです。

自動車所有権の移転

自動車は相続財産です。遺言書や遺産分割協議によって相続人を確定し、所有権を故人から相続人に移転します。

必要な戸籍謄本は故人と相続人全員のものになります。提出先は陸運局支局で、提出期限は相続が確定してから15日以内です。

提出する書類はこのほか、所有権移転申請書、自動車検査証、改製原戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書(陸運局所定の用紙)、相続人の委任状、自動車税申告書、手数料納付書、車庫証明書などです。

電話(加入固定電話)の名義変更

固定電話に加入している方は、名義変更が必要になります。

必要な戸籍謄本は故人のものになります。提出先は日本電信電話で提出期限は相続が確定した後なるべく早く出したほうがいいでしょう。

提出する書類はこのほか、承継・改称届出書です。

戸籍謄本とは?

戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は同じもの

戸籍謄本とは、戸籍の原本を全てコピーして、市区町村長名と公印等を押して証明した書類のことです。
「謄(とう)」とは、「全文写し」の意味で、戸籍に入っている人全員の情報が記載されています。

夫婦と未婚の子が2人いれば4人の、未婚の子のうちひとりが結婚すれば3人の戸籍謄本が作られます。

現在では、戸籍の情報をコンピュータ化して保管するようになり、名称が戸籍謄本から戸籍全部事項証明書に変わりました。

戸籍謄本と戸籍抄本の違い

戸籍抄本とは、戸籍に記載されている人のうち、ひとり、もしくは複数人の身分事項を証明するものです。
「抄(しょう)」とは、「必要部分写し」の意味で、戸籍謄本と戸籍抄本で証明される身分事項について違いはありません。

戸籍の情報を磁気ディスクで保管するようになったことで、戸籍抄本の名称も個人事項証明書に変わりました。

戸籍抄本と戸籍謄本は名称が似ているため、同じものだと勘違いしている方も多いようです。

人が亡くなった後の遺産相続や名義変更、生命保険の申請などは、故人と申請者の関係を確認する必要があるため、「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」が不可欠です。

戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)は公的機関で管理されているものなので、家族のつながりを証明するもっとも信用できる公文書です。

死亡した人の戸籍謄本が取れるタイミング

死亡届(死亡後7日以内に提出)を役所に提出し、届出の内容に問題がなければ、1~2週間後に「死亡」が戸籍謄本に反映されて、その人の死亡を証明します。

故人の戸籍謄本を交付申請する方法

場合によっては、戸籍謄本は葬儀後に何枚も必要になります。
葬儀後に相続財産を整理し、必要な枚数を確認した上で、交付申請することをお勧めします。

ここで注意しなければならないのは、戸籍謄本を交付するのは本籍地のある役所であり、住民票のある役所ではないことです。

本籍地は愛知県名古屋市、住民票は東京都板橋区の場合、名古屋市役所から戸籍謄本を交付してもらう必要があります。

交付申請できる人

  • 本人及び現在同一戸籍の人
  • 必要な戸籍に記載されている人の配偶者
  • 必要な戸籍に記載されている人の直系の血族(祖父母、父母、子、孫など)
  • 正当な理由があって戸籍謄本等を交付申請する人(代理人が申請する場合は、委任状が必要です。委任状は委任者が自筆し、押印します)

交付申請の流れ

本籍地がある市区町村の役場で戸籍謄本を交付申請する場合は、必要な戸籍の本籍地や筆頭者を明らかにしなければなりません。
親や家族に聞いても本籍地が不明な場合は、事前に本籍地・筆頭者の記載された住民票の写しを取得しましょう。
役場の窓口で「一生分の戸籍謄本を揃えたい」と伝えます。
その役場で全部が揃わないときは、どこで次の戸籍を取れるか聞きましょう。
引っ越しの際に本籍を毎回変更するなど、本籍を何度も移動した人は一式揃えるのが大変です。

本籍地のある市区町村の役場で交付申請

必要なもの

  • 市区町村所定の戸籍交付申請書(事前にダウンロードできる自治体もあります)
  • 故人の家族とわかる戸籍謄本
  • 印鑑
  • 本人確認書類(免許書・パスポートなど)
  • 委任状(申請者が家族以外の場合)

郵便による交付申請

戸籍謄本を郵送で取り寄せる方法は、各自治体のホームページで詳しく説明しています。
戸籍に関する証明書交付申請書もダウンロードできるので、故人の本籍が遠方の場合は、確認してみましょう。

必要なもの

  • 市区町村所定の戸籍交付申請書(事前にダウンロードできる自治体もあります)
  • 故人の家族とわかる戸籍謄本のコピー
  • 本人確認書類のコピー(免許書・パスポートなど)
  • 返信用封筒(切手貼付)
  • 手数料に相当する定額小為替(申込先は郵便局)
  • 委任状(申請者が家族以外の場合)

亡くなった後の手続きまで、しっかりフォローしてくれる葬儀社を選ぶ

戸籍謄本の交付申請、遺産相続、名義変更、生命保険の申請、口座の凍結解除など、葬儀後の手続きはたくさんあります。

首都圏の葬儀に関する情報を発信するエンディングデータバンクが行った調査によれば、喪主を経験した方の7割以上が、「一番大変だったのは、葬儀後の各種手続きだった」と回答しています。

葬儀が終わってからも、葬祭補助金や年金の受給などの役所手続き、四十九日法要や一周忌法要、お墓、遺品整理、香典返し等々、やるべきことは山積みです。

日頃やりなれていない、あるいは生まれて初めて行う諸々の手続きを、大切な人を亡くして心身ともに疲弊している状態でこなしていくのは大変です。

こうした遺族をサポートするために、専門の相談員が無料で回数の制限なくアフターサポートをしてくれる葬儀社もあります。

葬儀社を選ぶとき費用や会館については調べても、アフターサポートについて確認する人は少ないようです。

葬儀社選びのポイントのひとつに、しっかりしたアフターサポートがあるかどうかを加えておくと安心です。

葬儀後のお手続きの相談はお葬式のむすびすへ
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まとめ|戸籍謄本は死亡後の手続きや相続に必要な公的な証明書です

戸籍謄本が必要になるケースと交付申請について、ご理解いただけたでしょうか。

  • 戸籍謄本は、戸籍の原本を全てコピーして、市区町村長名と公印等を押して公的に証明した書類。
  • 自筆証書遺言や秘密証書遺言を開封する際、戸籍謄本が必要。
  • 相続する財産が基礎控除額を上回った場合、戸籍謄本が必要。
  • 故人が生命保険に加入していた場合、死亡保険金の請求に、戸籍謄本が必要。
  • 国民年金の遺族基礎年金請求のとき、戸籍謄本が必要。
  • 国民年金の寡婦年金請求のとき、戸籍謄本が必要。
  • 厚生年金の遺族厚生年金請求のとき、戸籍謄本が必要。
  • 不動産、預貯金、自動車所有移転、固定電話の名義変更、株式会社の名義変更などには、戸籍謄本が必要。
  • 死亡した人の戸籍謄本の交付が可能になるのは、死亡届の提出後約1~2週間。
  • 戸籍謄本は何枚も必要になることが多いので、必要な枚数を確認した上で、交付申請する。
  • 戸籍謄本を交付するのは本籍地のある役所。住民票のある役所ではないので注意する。
  • 戸籍謄本を郵送で取り寄せる方法もあるので、各自治体のホームページを確認する。
  • 死亡後の諸々の手続きまで、しっかりフォローしてくれる葬儀社を選ぶことが大切。

よくある質問

  • 戸籍謄本とは何ですか?

    戸籍謄本とは、戸籍の原本を全てコピーして、市区町村長名と公印等を押して証明した書類のことです。
    「謄(とう)」とは、「全文写し」の意味で、戸籍に入っている人全員の情報が記載されています。

  • 死亡した人の戸籍謄本が取れるのはいつからですか?

    死亡届(死亡後7日以内に提出)を役所に提出し、届出の内容に問題がなければ、1~2週間後に「死亡」が戸籍謄本に反映されて、その人の死亡を証明します。

  • 死亡後に戸籍謄本が必要になるのはどのような時ですか?

    遺言書や保険金の請求や不動産等の名義変更など多くのシーンで必要になります。詳しくはこちらをご覧ください。

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