エンバーミングとは?
国際間の遺体の輸送においても、エンバーミングは必要条件とされている場合がほとんどです。
エンバーミングは、遺体に殺菌・消毒・防腐処置を施して、通夜、葬儀・告別式、火葬までの間、遺体をきれいで清潔な状態に保存するためのグリーフサポートです。
タレントの壇蜜さんがエンバーミング処置を行う専門職、エンバーマーライセンスの資格取得者であることでも話題になりました。
遺体の変化が激しい夏場や火葬までに時間がかかってしまう場合、葬儀社からエンバーミングを提案されることがあります。
また国際間の遺体の輸送においても、エンバーミングは必要条件とされている場合がほとんどです。
今回は、元気だった頃の姿で故人とお別れしたいと願う遺族から選ばれている、エンバーミングについて解説します。
「エンバーミング(embalming:遺体衛生保全)」は遺体の保存を目的に、腐敗の原因となる全身の血液を、殺菌・防腐効果のある薬液に入れ替えることで、完全な消毒・減菌・腐敗防止を施し、衛生的かつ美しく保全する科学的な技法です。
エンバーミングが施された遺体は、ドライアイスなどを使うことなく通常10日~20日間程度保存できます。また、遺体からの感染リスクなども防ぐことができます。
遺体の損傷が進んでいる場合は、遺族や親族、友人と対面するときに、故人の尊厳を守るために施すこともあります。
エンバーミングの薬液は赤みのある色なので、遺体に生前のような血色を与え、自然な顔色や肌に近づけます。処置を施すことで、病気や事故で失われてしまった故人の元気だった頃の面影を取り戻します。
一般的な葬儀は、火葬場のスケジュールなどから逆算して、故人が亡くなってから2~3日間のうちに非常にあわただしく行われるので、遺族が心ゆくまでお別れをする時間を持てなかったり、海外や遠方からの弔問に対応できないケースがあります。
エンバーミングの特徴は、遺体を美しく衛生的に保全することで「その人らしさ」を取り戻し、遠方から駆けつける方のスケジュールも考慮した葬儀の日程を可能にして、遺族や親族、友人らとの最後のお別れの時間をゆっくり過ごすことができます。
エンバーミングが必要なケース
海外では、ほとんどの遺体にエンバーミングが施されています。
アメリカやカナダでは90%?95%、イギリス70%、北欧75%、ヴェネズエラ50%、アジアでもシンガポールの70%をはじめ、中国、タイ、香港、フィリピン、スリランカなど多くの国で遺体の衛生保全のためにエンバーミングを行っています。
日本でも遺体の変化が激しい夏場や火葬までに時間がかかってしまう場合、葬儀社からエンバーミングを提案されることがあります。
また、火葬せずに外国に遺体を搬送する場合は、エンバーミングの処置が必要です。
心ゆくまでお別れの時間を過ごしたい
あまりに急なお別れで何も考えられない。遠方からすぐに駆けつけられない親族がいる。何らかの理由で葬儀までに日数がかかるなど、エンバーミングをすれば一定期間、遺体の状態を維持することができます。
ゆとりのある時間が生まれることで、心ゆくまで故人と対面しながら思い出を振り返ったり、遠方の親族や友人なども交えて、最後のお別れまでの時間を過ごすことができます。
その人らしい姿で送ってあげたい
事故や闘病などで大切な人の姿が、元気な頃とは変わってしまった状態での別れはつらいものです。エンバーミングをすることにより、痩せた顔をふっくらと整えたり、その人らしい表情をつくり、元気だった頃の面影に近づけることができます。
お気に入りの衣服を着せしたり、その方を象徴するような品々を身に着けるなど、その人らしい姿でお別れをすることができます。
遺体を海外搬送する場合
日本で海外の方が亡くなられた時、あるいは旅行や出張先で日本人が亡くなった場合、遺体の保全と安全性の観点から、多くの国や航空会社でエンバーミングが推奨されています。
エンバーミングを行うことで安定した状態で搬送ができ、自国でその国の習慣や宗教にのっとった葬儀で送ることが可能になります。
エンバーミングの流れ
日本におけるエンバーミングは、IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)の「エンバーマーライセンス」の資格取得者が専用施設で処置を行います。
エンバーミングの処置にかかる時間は3時間程度です(遺体の状態により多少の変動があります)。
エンバーミングの流れ
日本におけるエンバーミングは、IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)の「エンバーマーライセンス」の資格取得者が専用施設で処置を行います。
エンバーミングの処置にかかる時間は3時間程度です(遺体の状態により多少の変動があります)。
①事前手続きのうえ、遺体を専用施設へ移動します
簡単な打ち合わせを経て、遺体を専用の施設に搬送します。また、葬儀を依頼した葬儀社にエンバーミングを依頼することもできます。
準備するもの
・
エンバーミング依頼書
・
死亡診断書のコピー
・
衣装やアクセサリー
・
愛用の化粧品
・
生前の写真
②エンバーマーによる処置
血液・体液を防腐消毒液に置き換えます。
マッサージを施し、シャンプー、リンス、石鹸で身体全体を清潔に整えます。生前の写真をもとに、元気だった頃の面影に近づけていきます。
③着付け・メイク
着物、スーツ、ドレスなど、準備した衣装の着付けを行います。
その人らしさが引き出されるメイクをします(故人の愛用していた化粧品でメイクを施
すことも可能です)。
④納棺・搬送
遺族の希望により棺に納めてから斎場や安置場所など、指定された場所に搬送します。
エンバーミングの費用
エンバーミングの費用は、日本におけるエンバーミングの適切な実施と普及を目的として作られた団体、IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)が基本料金を定めています。
【基本料金】
15万円~25万円
【基本料金の内容】
・エンバーミング処置
・
洗浄
・
整顔
・
着付け
・
メイクアップ
・
納棺
【別料金】
搬送費用 安置費用 修復の度合いが大きい場合 衣装類 ドライアイス(処置を始めるまでの保護用)
その他の遺体ケア方法
エンゼルケア
エンゼルケアは、病院で亡くなった際に看護師が遺体に行う処置のことを指します。もともとは医療業界で「死後処置」と呼ばれていたものです。
遺体をタオルなどで拭く清拭(せいしょく)、綿詰めのほか、病院着から衣服の着替えなどを行います。
湯かん
湯かんは、故人がお風呂に入って生前の疲れを癒し、旅立ってほしいという意味合いから行うものです。
儀礼形式に基づき、シャワーで遺体を清めて洗浄し、白装束か故人が生前に愛用していた洋服に着替えさせます。その後、より自然で安らかな顔でお休みいただくため、メイク(死に化粧)を行います。湯かん・メイクは納棺師が行います。
エンバーミングの手配ができる葬儀社は
エンバーミングは、全国どこの葬儀社でも依頼することができますが、各葬儀社によって提携しているエンバーミング事業者はそれぞれ違います。
エンバーミングの依頼は法人だけでなく個人でも行えますが、その事業者の実績や信頼、エンバーマーの技術などは、やはり葬儀社に詳しい情報があります。
葬儀の相談を行っている葬儀社を選び、さまざまな疑問や不安に対して、納得いくまで説明してもらいましょう。
よくある質問
A.エンバーミングは亡くなった人全員が必要な処置ですか?
Q.海外では、ほとんどの遺体にエンバーミングが施されています。
日本でも遺体の変化が激しい夏場や火葬までに時間がかかってしまう場合、葬儀社からエンバーミングを提案されることがあります。
Q.エンバーミングはどれくらいの費用が掛かりますか?
A.エンバーミングの費用は、IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)が基本料金を定めています。基本料金は15万円~25万円となっています。ら
Q.エンバーミング以外のご遺体のケアはありますか?
A.エンバーミング以外のご遺体のケアは、エンゼルケアや湯灌などがあげられます。
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