現在、首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)、愛知県、岐阜県、福岡県の10都府県を対象に新型コロナウイルスの緊急事態宣言の期間が延長されています。

政府は、飲食店への時短営業要請などの施策を打ち出していますが、新規感染者や重症患者数は一進一退の状況が続いており、医療体制の逼迫により自宅療養を余儀なくされた方の容体が急変し、お亡くなりになるケースも少なくありません。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染し、もしくは感染した疑いがある故人様の葬儀については、厚生労働省及び経済産業省が策定した「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」を踏まえながら、ご遺族の意思をできる限り尊重しつつも、医療従事者の方、火葬場従事者の方、葬祭従事者など、関係者の安全・安心に最大限に配慮した感染対策を講ずるという、極めて難しい両立を迫られます。

本来であれば、私たち葬祭従事者は突然の病に倒れた故人様の無念を想い、大切なご家族を亡くされて悲嘆にくれているご遺族に寄り添いながら、「お客様のために何ができるか」を第一に考えて、人生最後の大切なイベントである葬儀を、ご遺族の皆様がこれから生きていくために、少しでも意義あるものにすべく日々尽力しています。

しかし、実際に新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方を送る現場では、やはり普段の葬儀とまったく同じというわけにはいかず、様々な課題もあります。

今回は、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方、もしくは感染した疑いがある故人様の葬儀について、現場の第一線で働く葬儀スタッフの証言をもとに、詳細なレポートをお届けします。

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新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の葬儀の現状

昨年、新型コロナウイルス感染症のために亡くなった、コメディアンの志村けんさん、女優の岡江久美子さんのご遺骨が、ご家族の待つ自宅に届けられるニュース映像は、多くの方に深い悲しみと衝撃を与えました。

新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の葬儀
非透過性納体袋

現状、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方のご遺族は、病院で棺を見送ることはできるものの(病院や葬儀社によって、それもできない場合もあります)、ご遺体は接触感染を避けるため、非透過性納体袋に収容・密閉されているので、お顔を見ることはできず、火葬にも立ち会うことはできません。通夜、葬儀についても、現下の社会状況から執り行われる機会は稀です。

通常、24時間以内の火葬は禁止されていますが(墓地、埋葬等に関する法律第3条)、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方のご遺体に関しては、24時間以内に火葬することができるとされており、必須ではありません(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第30条第3項、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令第3条)。

火葬までの流れ

1.搬送

新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の葬儀

ご臨終後は、ご遺体のケアを行う医療従事者の方も、搬送スタッフの方も、個人防護具〔サージカルマスク、手袋、長袖ガウン、目の防護具(フェイスシールド又はゴーグル)〕着用します。

ご遺体の安置については、新型コロナウイルス感染症のために亡くなった方の受け入れ可能な施設にお運びて、ご遺体を消毒などのケアを行います。

インタビュー取材したお葬式のむすびすは、カメラケース、噴霧器、抗菌装置など万全の準備をしたうえで、故人様のお写真を撮影しています。これは、ご遺族が亡くなった方の姿を直接見れないことに対する心配りです。

ご遺体を非透過性納体袋に収容・密閉して、適切に管理することが必要です。

2.打ち合せ

打ち合わせは、ご遺族と直接お会いせずオンライン、電話、メールを使って行われます(担当者が直接お会いする葬儀社もあります)。打ち合わせの内容については、火葬の日時、ご遺骨のお届け方法、お見積り、契約に至るまで、すべて非対面形式で行われます。

3.火葬

新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の葬儀

火葬場では新型コロナウイルス感染症で亡くなった方専用の時間帯が設定されています。
感染予防のため、火葬にはできるだけ立ち合い人数を少なくする必要があるため、立ち会いは搬送スタッフのみで行ない、ご遺族は基本的には立ち会うことができません。

ただし、お手向けのお品に関しては火葬場にもよりますが、火葬できるものであれば棺の上に乗せることが許可される場合は、事前に葬儀社がご遺族から受け取って対応します。
お葬式のむすびすで対応した際は、家族からのメッセージを代筆した手紙を手向けたり、出棺用の生花を棺の上に乗せて差し上げたりしたそうです。

また、火葬に立ち会えない家族のために荼毘にふしたタイミングや、収骨のタイミングなどで家族に実況中継のような形で現場スタッフから家族に電話をしたりすることもあるそうです。

火葬場への棺の搬入は、一般の方がいない時間帯に行われます。火葬場のスタッフが防護服を着用して対応し(火葬場によっては、マスク及び手袋の場合もあります)、搬送車から館内の炉前までの動線は、ドライブスルー方式を採用する施設が多いようです。

4.ご遺骨のお届け

火葬に立ち会った搬送のスタッフから、葬儀社の担当者がご遺骨を受け取り、故人様のご自宅までお届けし、火葬時の対応などを報告します。テレビのニュース番組で流れる映像は、この時のものです。

今回、インタビュー取材した、お葬式のむすびすのエンディングプランナーいわく、このとき初めて、ご家族と直接対面することが多いとのことでした。

ご遺族はどんな様子なのか

大半のご遺族は、突然のことでうまく状況が呑み込めず、先のことをあまり考えられない状態です。ショックの大きさから、葬儀社の担当者がご遺骨を自宅にお届けしても、奥様や旦那様が受け取らず、息子さんや娘さんが出てくるケースも珍しくありません。

さらに、新型コロナウイルス感染症で亡くなった場合、家族も濃厚接触者であることが多いので、2週間は自宅待機しなくてはいけないので、葬儀後の様々な手続きが遅れてしまうことになります。

一方で、大切な家族を急に亡くしたうえに、葬儀で送ることも叶わなかったことから、どこかのタイミングできちんとお別れをしたいと要望する方も多いようです。

これは、家族の立ち合いなしの火葬で、ご遺骨だけが自宅に届くので、お別れについて思い出す場面がなく、後になってから「あれを準備してあげれば良かった」「こうしてあげたかった」という気持ちが、あふれてくるからでしょう。

お葬式のむすびすでは、こうしたご遺族の想いにアフターサポートを充実させることで対応しているとのことでした。

コロナで亡くなったときは、どうすればいいのか?

新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方の葬儀については、どこの葬儀社でも受け付けているわけではありません。

個人防護具や非透過性納体袋を準備している葬儀社は限られます。また、「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」を踏まえながら、関係者の安全・安心に最大限に配慮することも必要です。

あまりに突然のことで、どうしていいのか分らない遺族に、新型コロナウイルス感染症だからという理由だけで、高額な葬儀費用を請求したり、万全な感染症対策をしないまま、ご遺体とお別れができるかのように吹聴をする葬儀社には注意が必要です。

新型コロナウイルス感染症で家族が亡くなったときは、過去に新型コロナウイルス感染症ガイドラインや新型インフルエンザ等対策特別措置法に則った葬儀の実績がある葬儀社へ依頼することをお勧めします。

この記事の情報的提供はお葬式のむすびす

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