上尾伊奈斎場つつじ苑の利用詳細ガイド
上尾伊奈つつじ苑は、2003年に竣工された、上尾市が運営する火葬場併設の式場です。
伊奈町は上尾市に運営業務を委託しており、建物の管理は公益財団法人上尾市地域振興公社が、他の上尾市の施設とともに受託しています。
ただし、同公社は管理運営のみを担っており、利用に際しては登録されている葬儀会社へ依頼する必要があります。
近年、「火葬場併設」という最大のメリット、そして「公営」であることから利用希望者が増加しています。それに伴い、「直接依頼ができる」と誤解する方も増えています。
しかし、公営斎場のため職員はあくまで管理運営のみを担当しており、斎場の予約、病院からのご遺体の搬送、葬儀全般の手配などは、登録されている民間の葬儀会社へ依頼する必要があります。
令和6年現在、登録葬儀社は50社以上ありますが、近隣の多くの葬儀社は自社会館への誘致を優先し、上尾伊奈つつじ苑の利用は火葬のみとなっているのが現状です。
一方、近隣に自社会館を持たず、公営斎場での葬儀を主に行う葬儀会社が、年間の利用件数の大多数を占めています。そのため、依頼を検討する際は、「上尾伊奈つつじ苑の利用経験が豊富な」近隣に自社会館を持たない葬儀会社を選ぶのがオススメです。
上尾伊奈つつじ苑のエントランスと式場設備
石造りの床に、間接照明を多く取り入れたエントランス。
時が過ぎても色褪せることなく、いつまでも思い出を感じられるように――。
その最後の場を美しく飾り、市の思いやりが伝わるような、清潔感のある造りとなっています。
3つある式場はすべて受付部分から仕切られており、経験のある葬儀会社であれば、正面に利用者の名前入り看板を用意するため、迷うことは少ないでしょう。
また、多くの利用者が行き交う日でも、通路は広めに設計されているため、車椅子や杖を使用する年配の方も安心して移動できます。
上尾伊奈つつじ苑の式場と変わりゆく葬儀の形
建物内には、第一式場、第二式場、第三式場の三つの式場があります。
それぞれ60席、80席、150席と着席数に違いはありますが、設備や祭壇の間口はすべて同じです。
つまり、看板の名前と写真を変えれば、どの式場を使用しても大きな違いはありません。
そんな式場を長年見守ってきた警備員の水島さん(仮名)は、こう語ります。
「昔はどこも同じだったが、ここ10年ぐらいでお花の飾り方にもだいぶ個性が出てきた。
特に、遺影写真だけでなく、生前の写真が大きく飾られるようになったのを見ると、
夜間の警備をしていても自然と手を合わせたくなるよね。」
故人を偲ぶ。
そんな当たり前の心の所作に、時代がようやく追いついてきたのかもしれません。
上尾伊奈つつじ苑の遺族控室
各式場には、畳敷きの遺族控室が備わっています。
第一式場と第二式場は21畳、第三式場は30畳と広々としており、どこか田舎の親戚の家を思い起こさせるような懐かしさがあります。
事前に申請すれば、お通夜後の宿泊も可能です。
各控室には湯舟こそありませんが、シャワー設備と簡易的な水場が整っており、遠方からの親戚とともに最後の時間を過ごすことができます。
消防法の規定により、かつてのようにお線香を絶やさずに過ごす「寝ずの番」はできなくなりましたが、
夜を通して縁深い方々と語り合う最後の夜は、きっと故人様も微笑ましく見守っていることでしょう。
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宿泊セット料金
Aセット(貸し寝巻付き):¥3,200
Bセット(お布団のみ):¥3,500
洗面セット(タオル・歯ブラシ・シャンプー・石鹸・髭剃り):¥350
和室の遺族控室とは別に、それぞれの式場には洋室の控室も備わっています。
第一式場・第二式場は40席、第三式場は60席の広さがあり、主にお通夜前後や火葬を待つ間の控室として利用されます。
この控室では、通夜振舞いや精進落とし(本膳)などの食事をとる場としても活用されます。
ただし、衛生管理上、飲食物の持ち込みはできません。
また、食事後にはテーブルの拭き取りや床の清掃が必要となりますが、
葬儀中に遺族が対応するのは難しいため、葬儀会社を通じて専門の仕出し料理店に依頼するのが望ましいです。
上尾伊奈つつじ苑の収骨と遺族の過ごし方
エントランスと同様、石造りの清潔な仕様となっており、
亡くなった方との最後の別れ、そしてその後のお骨上げにも、遺族は澄んだ心で臨むことができるでしょう。
式場控室や遺族控室は、収骨後は利用できなくなりますが、
建物内には共用の更衣室が設置されているため、着替えが必要な方はそちらを利用することになります。
そして、お骨上げが終わった後は、故人のお骨を安らかに安置するために、できるだけ早く、慣れ親しんだご自宅へと連れ帰るのが最善でしょう。
家族が集う場所ほど、安らぎを感じられる場所はありません。
葬儀専門生花店の視点|上尾伊奈つつじ苑でのやりがいと使命感
市内の葬儀専門生花店に勤務する須永さん(仮名)は、同斎場での仕事が好きだと言います。
「葬儀社さんに呼ばれて行くんですけど、毎回お花の飾り方も量も違うから大変ですよ。
でも、違うってことは、やりがいもありますよね。」
多くの市民が利用する斎場である以上、生花は単なる飾りではなく、葬儀ごとに片付けや清掃も必要になります。
そのため、体力だけでなく、異なるオーダーに応じる知識と工夫も求められます。
だからこそ、一つひとつの花の飾りにも真剣に向き合える。
だからこそ、市営である上尾伊奈つつじ苑の仕事が好きになり、真剣に取り組める。
そして、真剣だからこそ、この斎場をおすすめできるのだと須永さんは語ります。