無宗教葬儀とは?|一般的な葬儀との違い。無宗教葬儀の種類、式次第の例、注意的などを解説
第1章 無宗教葬儀とは?
無宗教葬儀とは、決まった流れや各宗教特有の儀礼がない自由な形の葬儀
無宗教葬儀(無宗教葬)は、仏教や神道、キリスト教といった特定の宗教・宗派の儀礼に従わない葬儀スタイルで、「自由葬」とも呼ばれます。
無宗教葬儀は無信仰の方だけでなく、社葬や市民葬など、宗教色を出したくない葬儀でも選ばれています。
首都圏における無宗教葬儀の割合は、2000年頃には葬儀全体の約5%でしたが、2010年以降には15%を超え、コロナ禍の2021年には33.6%にまで急増しました。
無宗教葬儀の増加には仏教離れの進行が影響していると見られますが、直接の要因として、宗教者を招かない「直葬」の増加が挙げられます。
※PRタイムズ お葬式のむすびす(2021年11月25日)より
各宗教の葬儀と無宗教葬儀の違い
無宗教葬儀は、宗教による決まった儀礼や伝統的な慣習に縛られず、故人の遺志や親族や遺族の考えに基づき、自由なスタイルで行えるのが特徴です。
僧侶や神主などの宗教者を招かないため、お布施や祭祀料、お車代、お膳料といった謝礼も不要です。
仏式の葬儀での読経や焼香、神式の祭詞奏上や玉串奉奠(たまぐしほうでん)に対して、無宗教葬儀では献花や黙祷が一般的に行われます。
ただし、無宗教葬儀には定型の式次第がないため、内容や進行はすべて親族や遺族の意向により決定されます。
葬儀 | 儀礼 | 祈り | 宗教者への謝礼 | 香典 |
---|---|---|---|---|
無宗教 | 献花など | 黙祷など | なし | 香典・お花料 |
仏教 | 焼香 | 読経 | お布施円 | 香典 |
神道 | 玉串奉奠 | 祝詞奏上 | 御祭祀料 | 玉串料 |
イス席 | 献花 | 葬儀ミサ 神への拝礼 |
献金 | お花料 |
※一般的な葬儀形式を例に記載。故人や遺族の意向により異なります
第2章 無宗教葬儀の一般的な流れ、式次第の例
特定の宗教や宗派にとらわれない無宗教葬儀は、儀礼や式次第に決まった形式がないため、葬儀の内容を自由に組み立てられます。
葬儀の内容については、故人の遺志や遺族の希望を尊重し、葬儀社と相談しながら決定していきます。
以下に、一般的な無宗教葬儀の内容と式次第の一例をご紹介します。
無宗教葬儀の式次第の一例
- 参列者の入場 参列者が会場へ入場する
- 開式の言葉 司会者による開式の挨拶
- 黙祷 参列者全員で故人に黙祷を捧げる
- 献奏 故人の好きな音楽などを流す 生演奏や動画上映などを行う場合もある
- お別れの言葉 参列者から故人へお別れの挨拶
- 遺族代表の挨拶 遺族の代表者が会葬のお礼と故人への生前の厚情に対する感謝を述べる
- 献花 故人へ花を捧げる
- お別れ 出棺前に最後のお別れをする
- 閉式の言葉 司会者による閉式の挨拶
- 出棺 葬儀場から火葬場へ出棺
- 会食 火葬後の会食
無宗教葬儀では、お通夜や告別式の儀式を特定の形式にとらわれず、自由にカスタマイズすることが可能です。
故人を偲ぶための振る舞いとして、献花や黙祷を行ったり、故人の思い出に合わせた演出を取り入れることもできます。
遺族のご希望に沿って、温かみのあるお別れの場をつくり出すことが特徴です。
無宗教葬儀の内容例
- 献奏 故人の好きだった曲を流したり、生演奏する
- スライド上映 思い出の写真や動画を上映する
- 思い出の品等の展示 故人の人となりを伝える思い出コーナーの設営
- 故人の経歴紹介 故人の足跡を示す写真パネルなどを展示
- 弔辞 友人代表が故人に捧げるお別れの言葉
- 弔電の紹介 お悔やみの電報を読み上げる
- 読経 無宗教葬儀でも僧侶に読経を依頼できます
献花によるお別れ
無宗教葬儀では、焼香の代わりに献花でお別れすることが多く、献花には白菊、ユリ、カーネーション、バラなどが一般的に用いられますが、故人が好きだった花を手向けることも可能です。
かつてはバラの棘が葬儀に相応しくないとされていましたが、現在では棘を取り除いたバラが使われ、特に女性を中心に人気が高まっています。
無宗教葬儀では式の翌日や、弔問者への案内に関しても柔軟な対応ができ、参列者の受付においても宗教色のないシンプルな形式が取られるのが特徴です。
-
献花の作法
- 遺族に対して一礼する
- 右手に花、左手に茎がくるように花を受け取る
- 祭壇の前に立ち、一礼する
- 花が手前に向くように回して献花台に捧げる
- 黙祷または一礼する
- 祭壇から1歩下がり、一礼して席に戻る
第3章 無宗教葬儀を終えたあとの供養
無宗教葬儀を終えてからの供養は、故人の遺志や遺族の考え方、血縁条件によってさまざまです。
寺院や霊園、散骨、手元供養を選ばれる方もいます。
永代供養
永代供養とは、寺院や霊園に遺骨を預け、永代にわたって供養と管理を任せることです。
契約時に永代供養料を支払うため、お墓の維持管理費は不要ですが、一定の契約期間が過ぎると、他の遺骨と合祀されることが一般的です。
永代供養は、新たにお墓を建てる予定のない方や、供養を続ける跡継ぎがいない方、家族にお墓や供養の負担をかけたくない方などに選ばれています。
近年では、寺院墓地や民営霊園に限らず、公営霊園にも永代供養墓が増えています。永代供養を検討される際には、葬儀社のアフターサポートに相談することをお勧めします。
海洋散骨
海洋散骨とは、故人の遺灰を海に散骨する葬送および供養のスタイルで、「海洋葬」とも呼ばれます。
なお、散骨を海岸や砂浜で行うことは禁止されているため、遺族は専門業者の船をチャーターし、散骨が可能な海域に到達してから行います。
また、漁場や養殖場が近い海域での散骨や、大量の花束、故人の遺品などを海に投下することも禁止されています。
海洋散骨の専門業者への依頼には、個別に船をチャーターする「個別海洋散骨」、複数の遺族が乗り合わせる「合同海洋散骨」、業者に散骨を委託する「委託海洋散骨」などの方法があります。
樹木葬
樹木葬は、自然の木々や草花に囲まれて眠りたい人、最後は自然に還りたいと願う人に選ばれている供養です。
樹木葬には墓石などの人工物を置かず、霊園や墓地の一定区画に遺骨を埋葬する永代供養タイプ、シンボルツリーの下に骨壺や骨袋に入れて埋葬するタイプ、粉骨して自然の里山や森林に散骨する自然葬タイプなどがあります。
樹木葬は跡継ぎの有無や宗教宗派を問わず契約できる点が特徴で、一般的な墓地と比べて維持管理費が安く、お墓の掃除や墓石のメンテナンスが必要ないというメリットがあります。
樹木葬の注意点としては、一旦遺骨を散骨(埋葬)してしまうと二度と取り出せないことや、シンボルツリータイプの樹木葬では、夫婦や家族であっても亡くなった年が違うと同じ区画への埋葬が難しい場合があることが挙げられます。
第4章 無宗教葬儀の費用
無宗教葬儀は葬儀のスタイルを自由に決められるため、葬儀にかかる費用も大きく異なります。
宗教者への謝礼やお車代、お膳料といった費用は不要ですが、一般的な葬儀に比べて大幅に費用を抑えられると考えるのは注意が必要です。
ご遺体の搬送や式場使用料、祭壇の設営費、葬儀社の人件費などは、通常の葬儀と同様にかかります。
また、葬儀の内容や参列者の人数によっても費用が大きく変動します。
葬儀内容を決めてから費用を算出することも可能ですし、逆に予算に応じた葬儀プランを組み立てることもできます。
どのような内容でどの規模の葬儀を行いたいか、葬儀社と相談して見積もりを確認しましょう。
第5章 無宗教葬儀を選ぶときの注意点
無宗教葬儀では、宗教にとらわれない自由な日程や内容が選べるため、喪主や遺族が中心となって故人の意志に沿った葬儀を準備できます。
地域ごとの伝統的な習慣や宗教儀礼がないため、関係者や知人などが集まりやすいように式の形式や進行を調整できるのも大きなメリットです。
ただし、無宗教葬儀のスタイルが馴染みの薄い場合もあるため、参列する方々には事前に葬儀の意味や流れを伝え、理解してもらうことが重要です。
無宗教葬儀は、本来、葬儀における宗教的側面を省き、より個人的な思い出や故人との関係性を大切にすることが目的です。
弔問を受ける際も、宗教儀礼に捉われず自由な形式で故人に敬意を表すことが可能であるため、関係者と相談しながら進めると良いでしょう。
第6章 お葬式のむすびすは、ご遺族の想いをカタチにする無宗教葬儀をご提案いたします
宗教による決まった儀礼や伝統的な慣習に縛られず、故人様やご家族様のご意向に基づいた自由なスタイルで葬儀を行える無宗教葬儀は、「100人いれば100通りのお葬式」を目指すお葬式のむすびすにぜひご相談ください。
当社のエンディングプランナーが、故人様の遺志やご家族様の想いを反映した“その人らしいご葬儀”をご提案いたします。
無宗教葬儀に関わるすべての費用やお料理、香典返しの返礼品についても、契約前に詳細な見積りを提示いたします。
無料の事前相談に加え、無宗教葬儀を終えられた後も、ご法要、永代供養、樹木葬、海洋散骨、相続手続きや役所の手続き、遺品整理まで、葬儀後も期限を設けずに無料葬儀後サポートを実施しています。
第7章 無宗教葬儀に参列するときの基本マナー
香典のマナー
無宗教葬儀に参列する際も、一般的な葬儀と同様に香典を包むのが一般的です。
香典袋の書き方や金額の相場も、一般の葬儀に準じます。
市販の不祝儀袋を使用し、表書きには宗教を問わず使える「御霊前」や「御花料」といった表記を薄墨で書くのが望ましいとされています。
葬儀の香典について詳しく知りたい方はこちら
服装のマナー
無宗教葬儀への参列では、特に指定がなければ、一般的な葬儀と同様に準礼装(喪服)を着用するのが基本です。
地域や関係にかかわらず、喪主や参列者が服装に気を配ることは重要な意味をもちます。
男性の場合、準礼装にはダブルまたはシングルのブラックスーツが適しています。
スリーピースの場合はベストも黒で統一し、白無地のレギュラーカラーのワイシャツに黒無地のネクタイを合わせ、足元には黒の靴下と黒い靴を着用します。
また、略礼装としては、ダークスーツに地味な色のネクタイでも問題ありません。
地域の慣習や準備の手間を考慮して、無宗教葬儀への適切な服装を選ぶことで、弔問される方への配慮を表現できます。
女性の場合、黒のワンピース、スーツ、アンサンブル、パンツスーツが推奨され、スーツのインナーも黒が望ましいとされます。
スカート丈はミディアム丈が適切で、袖丈は季節によって半袖(三分袖)も許容されます。靴は飾りのない黒いパンプス、ストッキングも黒が基本です。
数珠に関しては無宗教で宗教的な意義がないため、基本的には必要ありませんが、持参しても間違いではありません。
数珠に関するマナーについては以下ページにて詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
葬儀の数珠について詳しく知りたい方はこちら
無宗教葬は宗教や形にとらわれない葬儀
無宗教葬儀は、特定の宗教や形に縛られず、故人様やご遺族の意向に沿った自由な形で行える葬儀スタイルです。
個人の信念や価値観を重視し、個性的で心のこもった式を望まれる方にとって理想的な選択となります。
お葬式のむすびすでは、故人様とご遺族様に寄り添い、豊富な経験と知識を持つスタッフが無宗教葬儀をしっかりサポート。
式の進行や内容を共に考え、不安を解消しながら、心からのお別れの時間をお過ごしいただけるようお手伝いします。
無宗教葬儀に関するご相談や見積もりについて、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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