東京・神奈川・埼玉・千葉に伝わる葬儀の風習

同じ仏式の葬儀でも地域によって様々な風習があり、今でも昔からの風習が色濃く残っているところがあります。

仏式の葬儀には、地方ごとに様々な風習が残る

日本の葬儀の91.5%は仏式の葬儀です(日本消費者協会調べ)。地域によって割合に差はありますが、葬儀といえばほとんどが仏式の葬儀だと言えます。

しかし、同じ仏式の葬儀でも地域によって様々な風習があり、今でも昔からの風習が色濃く残っているところがあります。

例えば、北海道では香典に領収書が付いてきます。挨拶をして受付で香典を出します。すると受付の方が香典袋を開けて金額を確認し、「香典代」という領収書を発行してくれます。

また、福井県では長生きした故人の葬儀の席で、祝い事の定番である赤飯が出されることがあります。葬儀は故人の死を弔うと共に、長寿を全うした祝いの場でもあるという考えからです。

これはほんの一例で、地域ごとに残る風習は、その地域の人の昔からの考えであったり、故人への想いから来るものです。

東京・神奈川・埼玉・千葉でも、昔ながらの風習

東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県にも、地域によって昔ながらの風習が残っています。一般的な仏式の葬儀の流れに沿って、今も行われている葬儀の風習を紹介します。

お通夜

仏式の葬儀は、一般的にお通夜と告別式の2日間で行われます。お通夜は本来、家族や親族、故人と親しい友人などが、夜通し故人に付き添う「夜とぎ」を行い、別れを惜しむものです。

現在では、葬儀の場所が自宅から葬儀会場へと移ったことで、夜とぎを行う方は減りつつあります。なぜなら、葬儀会場の多くは、宿泊することができないからです。また、体への負担がかかることも要因となっています。

しかし、千葉県の農村部など一部地域では夜とぎを行い、食べ物をみんなで持ち寄ります。この風習は「夜伽見舞い」と呼ばれています。

香典は、お通夜か告別式で渡すものです。お通夜と告別式のどちらも出席する場合には、お通夜に出すことが一般的です。

千葉県の成田や、埼玉県の秩父などの地域では、お通夜に香典といっしょに「通夜見舞い」と書かれた封筒を渡す風習があります。これは、入院中のお見舞いに行けなかったことに対するお詫びの気持ちを表しています。

告別式

お通夜の翌日は、告別式が行われます。現在はこの二つが一緒に行われることがほとんどです。

埼玉県の北部地域では、男性の参列者に向けて三角の白布が配られます。本来は故人が着る死装束を、参列者が身にまとうことで、「三途の川までは付いていきますが、そこから先は一人で旅立ってください」という意味を表しているそうです。

埼玉県の一部地域では、遺体を葬儀場から火葬場へと送る出棺の際、故人が生前に愛用していた茶碗を割る「茶碗割り」という風習を行う地域があります。これは西日本ではよく見られる風習なのですが、埼玉県でも行われています。

千葉県松戸市周辺では、告別式でのお焼香の前に、親族でお酒を回し飲みする「別れの杯」という風習が残っています。

火葬

一般的には、葬儀・告別式が行われた後、火葬が行われます。しかし、関東の一部地域では、葬儀・告別式の前に火葬を行う「前火葬」が主流の地域もあります。

千葉県では、東京近郊の地域やその他都市部で「後火葬」が行われ、房総地方では「前火葬」が行われています。

また、埼玉県では川越市の一部で「前火葬」を行っています。神奈川県の一部地域でも「前火葬」が一般的となっています。「前火葬」を知らない地域の方が参列すると、故人の最後の顔を見られなかったということにもなりかねないので注意が必要です。

事前に確認して心の準備をしておきましょう

神奈川県では、東京と同じ一般的な葬儀が行われています。しかし、一部地域では納棺時に豆腐をみんなで少しずつ食べる風習が残っています。

関東地方はとりわけ、一般的な仏式の葬儀が行われている地域ですが、このように一部で昔ながらの風習が残っています。

このような風習に、いつ立ち会うかは分かりません。葬儀に参列する場合は、葬儀が行われる地元の知人などに確認し、心の準備をしておきましょう。

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