棺の種類や選び方などを紹介

故人の最期の装いともいわれる棺、宗旨・宗派によらず、あらゆる葬儀で必要な大切なものです。

故人の最期の装いともいわれる棺、宗旨・宗派によらず、あらゆる葬儀で必要な大切なものです。

材質・デザイン・色合いなど種類が豊富にあり、値段もリーズナブルなものから高額なものまで幅広く、葬儀社との打ち合わせでカタログを見ても、迷われてしまう遺族が多いようです。

今回は葬儀における棺の役割、棺の種類や選び方、費用の相場などに解説します。

棺とは

「棺(柩)」とは、遺体を葬るために納める入れものです。 棺の歴史は古く、紀元前の世界四大文明まで遡ることができます。ただし、当時の墳墓や棺は権力の象徴という意味合いが強く、その地位にふさわしい数多くの金銀の装飾品なども納められていました。

日本では古墳時代の舟形木棺や家形石棺などが、副葬品と共に発掘されています。また、『古事記』『日本書記』にも棺について記されています。

鎌倉時代になり、武士や庶民にも仏教が普及するにつれて、棺も徐々に使われるようになりました。当時は土葬が主流だったこともあり、円筒形をした桶型の「座棺(ざかん)」が用いられました。棺のことを「棺桶(かんおけ)」とも呼ぶのは、この形状に由来します。

江戸時代まで主に桶型の座棺が用いられましたが、明治になり葬列に「輿(こし)」が用いられるようになると、遺体をあおむけに寝かせた状態で納める「寝棺(ねかん)」が徐々に普及し始めます

戦後の昭和23年に「墓地、埋葬等に関する法律」が制定され、各地に火葬が普及すると、火葬炉に入れやすい形状である寝棺が主流になりました。

棺にはどんなものがある?

大切な人を送りだす最期の装いともいえる棺は、宗旨・宗派はもとより、国や地域によってもさまざまな特徴があります。

火葬が9割以上を占める日本では、木製の棺である「木棺(もっかん)」が基本です。デザイン・材質は豊富にあるので、故人のイメージや予算に合ったものが選べます。

木棺

桐(きり)、檜(ひのき)、樅(もみ)などの素材を活かした棺です。シンプルなものから、鳳凰の図柄や細やかな彫刻が施されたものまで、故人に合ったものを選べます。

職人が選び抜いた、割れや節目がない一枚板の無垢材だけを用いた天然木棺は、木本来のぬくもりと上質な素材だけが持つ気品が故人を包み込みます。

家具に使われる黒檀やゼブラウッド、楽器に使われるシルキーオークのような高級木材に、繊細な彫刻をほどこした棺は数百万円します。

布張棺

温もりや柔らかさを印象づけるモダンな布張棺は、木製の棺の表面を布帛(ふはく)と呼ばれる麻、木綿、絹などの布で覆った棺です。

布帛は素材・織り・色柄・刺繍を施したものなど、豊富なバリエーションがあります。布張棺は色柄でその人らしさを感じていただけるのが特徴で、故人の好んだ色、祭壇の花や人柄のイメージに合せて選べます。

男性の葬儀では白や青系の色が、女性ではピンク系が好まれる傾向にあります。

エンバー棺

主にエンバーミングが施された故人のための棺です。エンバーミング(遺体衛生保全)とは、遺体を衛生的かつ美しく保存するグリーフサポートです。

棺の蓋の上半分を外したり、透明アクリル板で覆うことで、最期の装いに身を包まれた故人と、参列者がお別れすることができます。一般的な木棺や布張棺でも開閉できる窓が付いていますが、エンバー棺は開口部が大きいことが特徴です。 開口部が大きいので、より近くで故人と面会することが出来ます。

エコ棺

森林資源の有効活用、燃焼時に発生する有害物質の排出が抑えられる地球環境に優しい棺です。

段ボールや再生紙が主な素材で、国産い草で作られた棺もあります。強度は合板製と比べても遜色なく、外観も布張棺と同じように布帛が張られているので色柄にバリエーションがあります。

地球温暖化や気候変動、大気汚染、海洋汚染といった環境問題に意識が高い方に選ばれています。

棺の準備

基本的に棺は葬儀社が準備します。 ほとんどの葬儀社では、葬儀のとき必要な祭壇、遺影、骨壺、棺などをあらかじめセットにした基本セットを提供しています。

基本セットに含まれる棺と異なるタイプを希望するときは、オプションメニューとして豊富に掲載されたカタログから自由に選ぶこともできます。

何らかの理由で、個人的に棺を準備する場合は、棺を製作している木棺製造販売業者から直接購入できます。また、Amazonなどのネット通販も販売しています。

ただし、火葬場の予約は葬儀社を通じて行うのが普通ですから、棺だけ準備しても葬儀式や火葬、諸手続きを個人で行うのは難しいでしょう。

棺の費用

棺は葬儀社の基本セットに組み込まれている場合がほとんどですが、棺をグレードアップしたいときは、オプションメニューから自由に選ぶことができます。

価格は、段ボール製、合板製、無垢材など素材よって変わります。また、工芸品のように装飾が施されたものは、加工や装飾のグレードによって価格に違いがでます。

比較的リーズナブルもので5万円前後、高級家具に使われる黒檀やゼブラウッド、楽器に使われるシルキーオークのような高級木材に、職人の手によって繊細な彫刻をほどこしたものは数百万円します。

「どうせ燃やすから安くて構わない」という意見もある反面、「大切な人が最期にねむる場として、ベストのものを用意してあげたい」という遺族もあります。

棺の費用は故人への遺族の想い、葬儀に対する喪主や故人の考え方によって変わります。

棺を選ぶポイント

棺は祭壇を含めた葬儀空間の約25%を占めています。
さらに、棺の周囲に花々を飾るベーシックな花祭壇の場合は、棺のデザインや色合いが大切なポイントになります。

ところが、遺族の関心はどうしても祭壇に行きがちです。「女性だから祭壇をきれなお花で飾ってあげたい」という考えはあっても、「女性だから素敵な棺にしてあげたい」という発想は、遺族の多くがなかなか思いつかないものです。

大切な人がねむる棺は、遺体を入れておく箱や容器ではなく、故人を送るための最期の装いであり、遺族や参列者にとっては、故人との永遠の別れの思い出に残るものです。

棺とは、「どうせ燃えてしまうもの」ではなく、「きっと思い出すもの」と認識して、故人らしいもの、故人に合ったものを選んで差し上げるのがベストです。

棺や葬儀のことはプロに相談

棺は葬儀には欠かせないものですから、ほとんどの葬儀社の基本セットに組み込まれています。名称やプランの内容は葬儀社によって多少異なりますが、葬儀社の豊富な経験から、葬儀の種類に合わせて必要になるものがセットになっています。

基本セットの内容、選べる棺の種類、葬儀の費用などを知るためには、複数の葬儀社に要望を伝えて、見積りを取り寄せることが一番の近道です。

複数の葬儀社から見積りを取る理由は、葬儀社ごとに扱っているプランや、基本料金に含まれている項目が違うからです。葬儀社に見積もりを依頼する際は、同じ条件にすることが重要です。

葬儀社の中には、総額を安く見せるために、見積りに含まれる項目を少なくしている業者もあるので注意しましょう。

まとめ

・「棺」は遺体を葬るために納める入れもので、故人の最期の装いともいわれる。

・宗旨・宗派によらず、あらゆる葬儀に必要な大切なもの。

・棺は材質・デザイン・色合いなど種類が豊富で価格も幅広い

・個人で棺を準備する場合は木棺製造販売業者やネット通販からも購入できる。

・棺の価格は素材やデザインなどで変わり、繊細な装飾が施されたものほど高額になる。

・価格の相場は比較的リーズナブルもので5万円前後、超高級棺は数百万円するものも。

・棺の費用は故人へ遺族の想い、葬儀に対する喪主や故人の考え方によって変わる。

・棺は「どうせ燃えてしまうもの」ではなく、「きっと思い出すもの」。故人らしいもの、故人に合ったものを選ぶのがベスト。

・葬儀社を選ぶ際は、葬儀の知識や丁寧な対応は言うまでもなく、経験豊富な専門の相談員が『無料で回数の制限なく』アフターサポートをしてくれる葬儀社がおすすめ。

よくある質問

Q.昔ながらの木材で出来た木棺や、布張りのものなど様々な種類があります。
A.故人らしい棺を選ぶとよいでしょう。

Q.棺の金額はどれくらいですか?
A.比較的リーズナブルもので5万円前後、高級家具に使われる黒檀やゼブラウッド、楽器に使われるシルキーオークのような高級木材に、職人の手によって繊細な彫刻をほどこしたものは数百万円します。

Q.棺の金額も含めた見積もりがほしい
A.複数社の葬儀社から見積りをとることをおすすめします。
お葬式のむすびすは棺も含め、お客様のご希望や条件に合わせた見積りを1円単位で提示しております。

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