宇宙葬や月面葬と、多様化が進む散骨のかたち

散骨は生前の趣味・嗜好を反映できる供養の方法です。

2016年6月20日にフジテレビで放送されたニュース番組「みんなのニュース」で、漫画家の松本零士さんが、「宇宙葬」を希望していることを明らかにしました。

『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』など、数々のSF漫画を生み出してきた松本零士さん。宇宙への想いも強く、「死ぬ前までにこの目で自分の地球を見ておきたい」と語っていました。続けて、「もし、間に合わなかったら、遺骨を宇宙まで送ってほしい」と、自身の散骨の希望を明かしました。

松本零士さんは、現在自分の髪の毛を月まで送る、月面葬まで考えています。散骨のかたちは地球にとどまらず、宇宙にまで広がっているのです。

散骨は生前の趣味・嗜好を反映できる供養の方法

松本零士さんの宇宙葬からも分かるように、散骨は生きている間の自分の趣味・嗜好を反映することができます。自分らしい供養のかたちを考えるきっかけのひとつとなるよう、様々な散骨の方法をご紹介します。

海洋散骨

散骨する場所として最も一般的なのは海です。漁場や航路を避け、おおよそ海岸から1海里以上離れた場所で、ご遺灰を撒きます。海洋散骨は、船舶で行う方法と、ヘリコプターで行う方法があります。ご家族が付き添わず、業者に代理で散骨してもらう方法もあり、その場合は5万円前後で行うことができます。


樹木葬

樹木葬とは、墓石の代わりに樹木を墓標として、ご遺灰を土に還す自然葬のひとつです。ご遺骨をそのまま埋めると埋葬になりますが、パウダー状にしたご遺骨を撒くのであれば、散骨とみなされます。墓標とする樹木はサクラやツツジなどが選ばれ、花咲く風景の中で休めることも魅力のひとつです。


バルーン葬・ロケット葬

バルーン葬とは、巨大なバルーンにご遺灰を付けて空へ飛ばす供養の方法です。空へと向かったバルーンは内部の圧力が高まって破裂し、ご遺灰はそのまま成層圏で散骨されます。バルーンを飛ばす場所に規制はありません。このほか、成層圏で散骨する方法として、ロケットにカプセルに入れてご遺灰を打ち上げるロケット葬もあります。


宇宙葬(流れ星供養)

ご遺灰の一部をカプセルに収め、人工衛星に乗せて打ち上げます。人口衛星は数日から数年の期間をかけて、地球を周回します。専用の無料モバイルアプリによって、人工衛星の現在地を確認できます。また、人口衛星から観た地球の姿を、リアルタイムに見ることもできます。最終的に人工衛星は大気圏に突入して、流れ星になるという仕組みです。価格は30万円となっています。


月面葬(月面供養)

宇宙葬を提供しているアメリカの企業が、2017年後半より日本でもスタートを予定している供養のかたちです。月面葬には、前出の松本零士さんも参加します。ご遺灰の一部をカプセルに入れ、月着陸船の内部に搭載して、月面に送ります。すでにお墓にあるご遺灰の一部を月に送ることも可能です。価格は120万円となっています。


手元供養

お墓や納骨堂などにご遺骨を納めず、自身の手元で供養する方法です。「分骨納骨型」と「遺骨加工型」のふたつの方法があります。前者はご遺灰をミニ骨壺などに入れて保管するもの、後者は加工してペンダントなどにして身に付ける方法です。

お墓に収めたご遺灰とは別に、手元供養のためにとりわける方法が一般的です。ご遺灰を手元に置いておくことで、故人のことを常に感じることができ、かつ費用も抑えることができるため、手元供養を選ぶ方が増えつつあります。ただし、ご遺灰を自宅で供養することを手元供養と呼ぶようになったのは最近のことなので、ご家族やご親族から反対されることもあるので、あらかじめ話し合っておくことが大切です。

まとめ

日本海洋散骨協会が2015年に行ったアンケートによると、単身世帯の4人に1人が海洋散骨を希望しているという結果が出ました。散骨がスタンダードな供養のかたちになる日は、そう遠くないかもしれません。

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