友引に葬儀をやってはいけないって本当? 暦注の意味と葬儀の日程を決めるとき配慮すべきポイントを解説 

友引は「友を引く」として葬儀を避ける傾向がありますが、仏教や神道で友引に葬儀を行ってはいけない教えはありません。六曜が広まる中で生まれたさまざまな解釈や、本来の六曜の意味を解説。友引を含む、葬儀日程を決める際の注意点についても紹介します。

第1章 友引に葬儀を避けたほうがいい?

友引は日の吉凶を占う六曜のひとつで、宗教的な意味や科学的な根拠のない迷信です。
本来は「共に引き合って勝負がつかない」という意味ですが、「友を引く」という語呂合わせから慶事には良い日、弔事は避けるべき日とされるようになりました。
仏教には友引の日に葬儀を禁じる教えはありませんので、友引に葬儀を行っても差し支えありません。
しかし、冠婚葬祭の日取りに縁起を担ぐ文化が根強く残っているため、六曜を参考にする人は少なくありません。
特に友引の葬儀を避ける風習が一般的なため、多くの火葬場では友引を休館日にしています。
そのため、火葬ができないと葬儀を行えないことから、結果として友引を避けて葬儀の日程が組まれることが多くなっています。

友引に葬儀を控えたほうがよいケースは

友引は大安や仏滅と同じように科学的な根拠のない迷信ですが、地域によって現在でも六曜を重んじる風習が残っています。
友引は大安や仏滅と同様に、科学的な根拠のない迷信とされていますが、地域によっては現在も六曜を重んじる風習が残っています。
また、遺族や親族の中に六曜を気にする人が多い場合、特別な事情がない限り、友引の葬儀は控えた方が無難でしょう。
多くの火葬場は友引と元日を休業日としているため、火葬場や葬儀場の空き状況によっては、友引の日に葬儀を行うことができない場合もあります。
地域の風習や火葬場の予約状況については、葬儀社と相談しながら、お通夜と葬儀に適した日程を決めることが大切です。


■「葬儀前に考えるべき5つのリスト」はこちら

第2章 友引の風習とは?

古代中国では、日や月、木星・火星・土星・金星・水星の五星の運行が国家や個人の命運に影響を与えると信じられており、これに基づく陰陽五行思想から暦注が生まれました。
暦注には多様な種類があり、農林水産業に欠かせない四季の区分を示す二十四節気もその一つです。
六曜も暦注のひとつで、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6つを順に繰り返す運勢暦です。
孔明六曜星と略され、諸葛孔明が考案したとも言われ、日本には鎌倉末期から室町時代に伝わったとされています。
もともとは時刻の吉凶を占うために用いられていましたが、明治6年に太陽暦が採用されると「おばけ暦」として庶民に人気を博し、日の吉凶を占う暦として浸透しました。
現在、暦注といえば六曜が主流であり、多くのカレンダーや手帳にも六曜が記載されています。
しかし、六曜はあくまで占いの一種であり、科学的な根拠や宗教的な背景のない迷信に過ぎません。

六曜の読み方と意味

先勝(せんしょう/せんかち/さきかち)
「先んずればすなわち勝つ」という意味を持ち、急ぐことで幸運が舞い込むとされています。午前中は吉、午後は凶となります。
友引(ともびき/ゆういん)
もともとは「何事も引き分けで勝負がつかない日」を意味していましたが、戦後「凶事に友を引く」という俗説が広まり、葬儀を避ける日とされています。ただし、結婚式では「友を引く」という解釈が良い意味にとらえられ、縁起の良い日とされています。
先負(せんぷ/せんぶ/せんまけ/さきまけ)
「先んずればすなわち負ける」という意味で、もとは小吉とされる吉日でしたが、文字の意訳から「先に立つと不幸になる」とされるようになり、勝負事やお見合いなどを避けるべき日とされています。
仏滅(ぶつめつ)
もとは「空亡」「虚亡」と呼ばれ、すべてが“むなしい”と意訳された「物滅」が転じて「仏滅」になったものです。そのため、仏教的な意味はなく、何事も成就しない日とされています。ただし、葬儀や法事には適しているとする見解もあります。
大安(たいあん/だいあん)
「大安吉日」とも呼ばれ、万事に成功するとされる大吉の日です。現在も結婚式や開店、移転などに良い日とされています。
赤口(しゃっく/じゃっく/しゃっこう/せきぐち)
もとは「赤舌日」と呼ばれる陰陽道の凶日の一つで、正午前後のみが吉、朝夕は凶とされます。祝いごとには大凶の日とされ、火の元に注意が必要といわれています。

第3章 友引に葬儀が避けられる理由は?


古代から暦注は人々の生活に役立ち、特に科学的な気象予報が発達する以前は重要な参考とされてきました。
冠婚葬祭の日取りを決める際、六曜の吉凶を気にする人も多く、現在でも縁起を担ぐために六曜を参考にする人は少なくありません。

故人や遺族、参列者のなかに暦注を重んじる人がいる

明治6年に明治政府が太陽暦を採用する以前は、さまざまな暦が普及していました。
しかし、政府は新暦の採用とともに暦注を「迷信」として廃止しました。
これにより、旧暦や暦注に依存してきた庶民は大きな混乱を経験しましたが、「おばけ暦」と呼ばれる六曜の暦注入りの暦がひそかに流通し、急速に広まりました。
さらに、2度の大戦を経て六曜は武運長久や冠婚葬祭の縁起を担ぐものとして全国に定着し、戦後はカレンダーや手帳にも六曜の暦注が記載されるようになりました。
こうして「友引は友を引くため葬儀には不吉」「仏滅は仏も滅する大凶日」などの俗説が生まれ、日取りの決定に大きな影響を与える可能性が出てきたのです。
六曜はもともと日時の吉凶を占うものであり、科学的根拠のない迷信に過ぎません。
仏教においても、友引に葬儀を行ってはいけないとする教えはありません。
しかし、六曜が冠婚葬祭の縁起担ぎに広く使われるようになったことで、友引の葬儀を避ける風習が根付きました。
重要な儀式である葬儀では、六曜を単なる迷信として否定せず、故人や遺族、参列者への敬意を示すために友引を避けるという習慣が続いているのです。

友引を休業日にしている火葬場や葬儀場が多い

仏教や神道には六曜との関連性はなく、どちらの宗教も友引に葬儀を行ってはいけないという教義はありません。
しかし、慣習的に友引の日に葬儀を避ける傾向があります。
これは宗教的な理由というよりも、友引の日に葬儀を希望しない方が多いため、多くの火葬場や斎場、葬儀場が友引を休業日にしていることによるものです。
実際、首都圏の1都3県では、多くの公営・民営火葬場が1月1日から3日、および友引の日を休業日に設定しています。
地域の火葬場の休業日や予約状況については、葬儀を依頼する葬儀社が把握していますので、葬儀の日程は葬儀社と相談しながら決めるとよいでしょう。


■通夜の基本的な流れは? 詳しくはこちら

第4章 「友引」以外に葬儀の日程を決めるとき気をつけることは

葬儀の日程を決める際、六曜の「友引」以外にもいくつかの点に注意が必要です。
突然のご逝去に備え、スムーズに葬儀の日程を決めるために、考慮すべきポイントをご紹介します。

葬儀に関連する法律を把握する

葬儀の日程を決定する際、関連する法律についてある程度理解しておくことが重要です。
例えば、日本では24時間以内の火葬が禁止されているほか、死亡届の提出期限火葬許可証の取得手続きなど、法律で定められた手続きを順守しなければなりません。
また、埋葬に関しても、「墓地以外の区域で埋葬や遺骨の埋蔵を行ってはならない」(墓地、埋葬等に関する法律)や「死体、遺骨、遺髪、または棺内に蔵置した物を損壊・遺棄した場合、3年以下の懲役に処する」(刑法190条)といった法律があり、海や山、自宅の庭などに遺骨を撒くことは制限されています。
葬儀社では、死亡届の提出や火葬許可証の取得手続きを代行してくれるほか、散骨や自然葬を希望する場合、専門の相談員が葬儀後のサポートをしてくれることもあります。

葬儀に関する法律例

墓地、埋葬等に関する法律

日本の法律では、24時間以内の火葬が禁止されています(墓地、埋葬等に関する法律第3条)。
ただし、一部の指定感染症により亡くなられた方およびその疑いがあるご遺体については、例外として24時間以内に火葬することが認められています(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第30条)。


「死亡届」

「死亡届」は、家族や同居人が亡くなった際、届出人が死亡の事実を知った日を含めて7日以内に、また国外での死亡の場合は3ヵ月以内に届け出ることが義務付けられています。
死亡届は「死亡診断書(死体検案書)」と一体化したA3サイズの用紙です。
死亡届は届出人が記載し、死亡診断書は医師が記載します。 医師による死亡診断書は通常の死亡の場合に使用され、突然死や事故死、自死、犯罪による死亡の場合は警察医が記載する「死体検案書」が必要です。
死亡届は、死亡地、本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場で受け付けられ、提出により戸籍に死亡が記載され、住民票が消除されます。
なお、役場の業務時間外は守衛室などで24時間365日対応しています。

死体火葬許可申請書

死亡届と同時に、遺体を火葬するための「死体火葬許可申請書」も提出します。
市区町村役場の窓口または自治体のホームページからダウンロード可能です。
死亡届および死体火葬許可申請書が受理されると、火葬場で必要な「死体火葬許可証」が交付されます。火葬後には、火葬場から「埋葬許可証」が発行され、これは納骨時に必要な重要書類となるため厳重に保管しましょう。

親族や関係者の都合を考慮する

葬儀の日程を決めるうえで考慮すべき重要な要素には、宗教者の都合、火葬場の予約状況、参列者の都合の3つが挙げられます。
まず、宗教者(僧侶、神主、神父など)に連絡して、儀礼に参加可能な日程を確認します。
宗教儀礼を伴う葬儀の場合、宗教者の都合を最優先に調整することが大切です。
次に、参列者、とくに遠方から来る方の都合を確認します。遠方の参列者がいる場合には、交通機関の状況や便の確保も考慮する必要があります。
葬儀の日程は、葬儀社との打ち合わせで調整していきます。宗教者への連絡方法がわからない場合や、参列者の交通手配について心配がある場合など、気になる点は葬儀社に相談し、適切な解決策を見つけていきましょう。

火葬場の空き状況を確認する

日本では、法律により故人の火葬が義務付けられているため、葬儀を行う際には必ず火葬場の予約が必要です。
近年、特に首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)では火葬場の予約が取りにくくなっており、希望する日時に予約が取れないケースも増えています。
火葬場の混雑状況によっては、日程の調整が必要になることもあるため、注意が必要です。
まず宗教者への連絡を済ませたら、速やかに火葬場の空き状況を確認し、予約を確定させてから、葬儀の日程を決めていくようにしましょう。
葬儀社と相談しながら、スムーズに進められるようサポートを受けると安心です。


■葬儀の日程の決め方や注意点に関して詳しくはこちら

よくある質問

友引の日に葬儀を行う場合、午前と午後のどちらが適していますか?

友引の暦注にはさまざまな解釈があります。
もともとは「勝負がつかない日」とされ、何事も引き分けになる日とされていました。
明治以降になると、朝と夕は吉日で昼は凶とされる解釈や、午前中は利益がなく、夕方は吉とする見方もあります。
そのため、どうしても友引に葬儀を行う必要がある場合は、午後に行うことを検討するのも一つの方法です。

お友引人形とは何ですか?

友引人形は、関西地域に古くから伝わる風習で、友引の日に葬儀を行う際、故人が「友を引く」ことを避けるための厄除けとして使われました。
遺族や参列者の不安を軽減するために、棺の中に友引人形を入れて供養を行うことが一般的でした。
形や素材は地域によって異なり、宗派によっては友引人形を使用しない場合もあります。
近年では、友引人形を使うことはほとんど見られなくなっています。

仏教の宗派によって友引や六曜の考え方は違いますか?

六曜は、古代中国の陰陽五行思想や六行説を起源とする暦注であり、仏教そのものとは関係のない吉凶占いです。
明治以降、六曜が庶民に広く知られるようになると、友引に葬儀を避ける風習が生まれましたが、これは仏教の教えに基づくものではありません。
仏教や神道、キリスト教など、どの宗教も本来六曜を意識していません。
特に浄土真宗では、友引に葬儀を行わないという風習そのものを否定しています。


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友引のご葬儀についても、お葬式のむすびすにご相談ください

友引の日に葬儀を行う必要がある方や、友引に反対する親族への配慮にお悩みではありませんか?
また、友引でも利用できる火葬場や葬儀場について知りたい方もいらっしゃるかもしれません。
お葬式のむすびすでは、ご葬儀に関する不安や疑問を解消するために、24時間365日、専門の相談員が対応いたします。
お悩みに合わせて、ご家族のご要望をしっかりとお伺いし、故人様とご遺族様に必要なものを厳選したご葬儀プランと日程を提案いたします。
例えば、ご家族や親しいご友人のみでゆっくりとお別れできる「家族葬プラン」、1日でご葬儀と告別式、火葬を行う「一日葬プラン」、儀式を行わず少人数でお見送りする「火葬式プラン」など、多彩なプランをご用意しています。
故人様とのお別れを心豊かに過ごしていただけるよう、むすびすがお手伝いさせていただきます。

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