葬儀後の挨拶とお礼について。知っておきたいお礼状の書き方・マナーを解説
葬儀を終えた喪主と遺族は、葬儀に際してお世話になった方へ挨拶回りに出向いたり、お礼状を送ります。本記事では、葬儀後のお礼の具体的な内容や、挨拶回りに伺うタイミング、訪問時の服装やマナー、お礼の品物の選び方などを解説。さらに、お礼状に使える文例も紹介します。
第1章 葬儀後のお礼について
葬儀を終えてからも、喪主や遺族が行わなければならないことは多岐にわたります。
なかでも、葬儀に際してお世話になった宗教者や世話役、職場関係の方へのお礼の挨拶は、感謝の気持ちを伝えるためにとても大切です。
葬儀後のお礼には、大きく分けて「挨拶回り」と「お礼状」の2つの方法があります。
- 挨拶回り
葬儀でお世話になった方のもとへ、喪主や遺族が直接出向いてお礼を述べる方法です。
無事に葬儀を終えられたことへの感謝を直接伝えられるため、できるだけ伺うのが望ましいでしょう。 - お礼状
先方の都合や距離の問題などで挨拶回りが難しい場合に送ります。
また、葬儀に参列していなくても、香典・弔電・供花・供物などのお悔やみをいただいた方へは、お礼状によって感謝を伝えます。
【葬儀のお礼をする方法】
お礼状は「会葬礼状」とも呼ばれ、葬儀に参列された方々へ喪主名義でお渡しするものです。
本来は葬儀終了後に改めて送付するのが一般的でしたが、近年では葬儀の受付で香典の返礼品に添えて手渡しする「即日返し」が増えています。
とはいえ、特にお世話になった方や挨拶回りに伺えない方には、改めてお礼状を出すのがおすすめです。
また、以下のように「お礼状」と「会葬礼状」は目的や渡し方が少し異なります。双方を状況に合わせて使い分けるとよいでしょう。
【お礼状と会葬礼の違い】
方法:通常、郵送で送る
方法:葬儀受付時に渡す(即日返しの場合)か、後日郵送する
印刷:葬儀社に依頼すると印刷してもらえる
第2章 葬儀後のお礼について
葬儀を終えた喪主や遺族は、お世話になった方へ直接出向いてお礼を述べます。
特に、葬儀の際に親切な心遣いをいただいたことへの感謝は、できるだけ早く直接お伝えするのが望ましいでしょう。
また、万が一、不手際などがあった場合は丁重にお詑びします。
挨拶回りに伺う方の範囲
宗教者(僧侶、神職、神父、牧師など)
葬儀当日にお礼をするケースもありますが、後日あらためて伺うほうが丁寧です。
葬儀の世話役や葬儀委員長
式の運営をサポートしてくれた方々には、早めに感謝を伝えましょう。
お手伝いしてくれた近隣の方々
ご近所の協力を得て葬儀を進められた場合は、挨拶回りの対象に含めます。
勤務先の上司や同僚
故人の社内関係者が参列した場合や、香典などのお悔やみをいただいた場合はお礼をします。
故人の恩人や特別にお世話になった方
家族以外でも、故人の生前に特にお世話になった方や親しかった方に伺うとよいでしょう。
挨拶回りをするタイミング
葬儀の翌日以降、遅くとも初七日までを目安に済ませるのが一般的です。
出向く際は、あらかじめ先方の都合を確認してから訪問するようにしましょう。
可能な限り喪主が出向く
もともと遺族は忌明けまで外出を慎む慣習があり、挨拶回りは血縁の遠い親族などに任せることが多かったといわれます。
しかし、近年では喪主自身が直接赴き、丁寧に挨拶するほうが一般的です。
喪主が高齢、あるいは体調面で難しい場合は、代わりに遺族代表が出向きます。
お礼の挨拶は簡素に伝える
先方の都合を考慮し、長居せずに簡潔かつ誠意を込めて感謝を伝えましょう。
下記は、挨拶回りの際に用いられる一例です。
このたびの葬儀では大変お世話になりました。
おかげさまで葬儀を無事に済ませることができました。
これは心ばかりのお礼の気持ちでございます。どうぞお納めください。
今後ともよろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。
服装と手土産についてく
服装挨拶回りの際には本来、喪服が正式とされていますが、落ち着いた印象の平服でも差し支えありません。
靴や鞄、アクセサリーなどは葬儀のマナーに準じて、派手なものや光沢のあるものは避けましょう。
挨拶回りに持参するお礼の品物は、タオルや菓子折りなどの日用品・食品が一般的です。
金額の目安は2,000〜3,000円程度。先方が負担に思わない範囲で選びましょう。
第3章 お礼状の書き方とマナー
以前は、葬儀に参列していただいた方への挨拶回りが難しい場合、会葬礼状を後日郵送するのが一般的でした。
しかし最近では、葬儀の受付で香典返しの返礼品とともに会葬礼状を手渡しすることが多くなっています。
一方、葬儀に参列していなくても香典や供花、弔電などをいただいた方には、お悔やみに対する感謝をお礼状でお伝えするのがマナーです。
ここでは、お礼状を送る範囲やタイミング、さらに基本的な書き方や注意点を解説します。
お礼状を送る範囲とタイミング
お礼状を送る範囲は、遠方にお住まいで挨拶回りに伺えない方、挨拶回りの日程の都合がつかない方、葬儀に参列していなくても香典、弔電、供花・供物などをいただいた方です。
送るタイミング
四十九日、または三十五日の忌明け後に送るのが一般的です。
お礼の品物を同封・同送する場合は、それらが同時に届くよう準備しましょう。
お礼状の基本項目
葬儀の受付で渡す「会葬礼状」は、葬儀社が準備した定型文の印刷物が多いでしょう。
一方、後日郵送する「お礼状」は、相手一人ひとりに宛てて書くものなので、喪主の手書き(便箋など)で送るほうが気持ちが伝わりやすくなります。
ただし、送付先が多い場合は印刷でもかまいません。EメールやSNSなどで済ませるのは弔事のマナーとして好ましくないため、控えましょう。
お礼状に盛り込む内容
- お世話になったことへの感謝
先般の葬儀に際し、心遣いやお悔やみをいただいたことへの御礼。 - 法要の報告
忌明けの法要(四十九日・三十五日など)を終えた旨や納骨先の案内。 - お礼の品の同封(または別送)について
相手のご厚意に対する返礼品を送った場合、その旨を伝える。 - 今後のお付き合い
故人に代わり、引き続きお付き合いをお願いしたい旨。 - 手紙で済ませるお詫び
本来なら直接伺いたいところを、略儀ながら書面で失礼する旨の断り。
これらを便箋1枚程度に簡素にまとめるのが一般的です。
時候の挨拶は書かない?
一般的に弔事では、悲しみの最中であることから時候の挨拶を省略する習わしがあります。
ただし、四十九日の忌明け後に出すお礼状では、時候の挨拶を入れても問題 ありません。
逆に、葬儀後すぐにお礼状を出す場合は、通常は時候の挨拶を省略します。
句読点を用いない、忌み言葉は避ける
お礼状の文章は、句読点や文頭の一字下げを使いません。
これは毛筆で書状を書いていた当時の作法で、文章を読みやすくする句読点や字下げを用いるのは、相手を子供あつかいすることで失礼にあたるという考えによるものです。
不吉な意味や死を連想させる忌み言葉、不幸が重なることを避ける意味で「しばしば」「たびたび」などの重ね言葉も用いません。
浄土真宗では亡くなった門徒は阿弥陀如来に導かれ、すぐに成仏すると考えられているため「冥福」「霊前」という言葉を使いません。
浮かばれない、大変、四(死)、九(苦)、など
続く、追う、繰り返す、など
【言い換え例】
他界、逝去、永眠、旅立つ、急逝、生前、など
お坊さん、など
第4章 葬儀後に送るお礼状【文例集】
お礼状は、会葬していただいたことへの謝意や、葬儀に際してお世話になったお礼、さらには香典・弔電・供花・供物などを頂戴したことへの感謝の気持ちを伝えるためのものです。
基本的には、お礼の品物を添えて送るのが一般的とされています。
お礼の品物には、お茶・海苔・お菓子・タオル・カタログギフトなどが多く選ばれます。
香典や供花に対する返礼品は、頂戴した金額の1/2〜1/3程度が相場です。
また、会葬や特にお世話になった方へのお礼の品は、2,000〜3,000円程度を目安にするとよいでしょう。
故人がお世話になった方へのお礼状
拝啓 時下ますますご清祥のことと拝察申し上げます
先般 父 〇〇 儀永眠の際には ご懇篤なるご弔問を賜わりましたこと
誠にありがたく 深く感謝申し上げます
お陰様をもちまして 本日四十九日の法要を滞りなく相すませました
つきましては 供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたします
なにとぞお納めくださいますよう お願い申し上げます
今後とも変わらぬご厚誼を よろしくお願い申し上げます
本来ならば お伺いしてお礼申し上げるところですが
略儀ながら書面をもってお礼かたがたご挨拶とさせていただきます
敬具
令和〇年〇月
遠方から参列してくれた方へのお礼状
拝啓 先般はご多忙中にもかかわらず 夫 〇〇 の葬儀に
わざわざ遠方よりご会葬くださり 厚くお礼申し上げます
△△様には 夫が名古屋支店に勤務していたころから
何かとお世話をいただきまして ありがとうございました
夫になり代わりまして 生前に賜わりました格別のご厚情に
心から感謝申し上げます
本来ならば お目にかかりましてお礼申し上げるところですが
まずは書中をもってご挨拶申し上げます
敬白
令和〇年〇月
故人の職場関係の方への礼状
拝啓 薫風の候 皆様にはますますご清栄のことと拝察申し上げます
このたびは 夫 〇〇 の葬儀に際しまして
丁寧なるご芳志とご弔電を賜り 誠にありがとうございます
また 夫の生前中は皆様より多大なるご厚誼を賜りましたこと
故人に代わりまして心より感謝申し上げます
お陰様をもちまして 四十九日法要も滞りなく相すませました
つきましては 心ばかりの品をお送りいたしましたので
ご芳志のお礼としてお納めくださいますよう お願い申し上げます
本来ならば お伺いして皆様にお礼を申し上げるべきところですが
略儀ながら 本状もってご挨拶もうしあげます
敬白
令和〇年〇月
葬儀を手伝っていただいた方へのお礼状
拝啓 このたびは 妻 〇〇 の葬儀に際しまして
普段よりご懇意にしていただいた皆様に
お手伝いをいただきまして 誠にありがとうございました
お陰様をもちまして つつがなく葬儀を相営むことができましたこと
心より感謝申し上げます
生前に皆様から賜わりました格別のご厚情に 妻になり代わりまして
厚くお礼申し上げます
後日改めてご挨拶にお伺いいたしますが まずは略儀ながら書中をもって
お礼申し上げます
敬白
令和〇年〇月
供花や供物、弔電をいただいた方へのお礼状
拝啓 このたびは母 〇〇 の葬儀に際しまして
立派なご供花を賜わりまして 誠にありがとうございました
謹んでお受けし 霊前に飾らせていただきました
母の最期を美しい花で飾ってくださいましたご厚情に感謝し
故人も心安らかに旅立って行ったことと存じます
つきましては供養のおしるしまでに
心ばかりの品をお届けいたしましたので
ご受納いただきますよう お願い申し上げます
本来ならば お伺いしてお礼申し上げるところですが
略儀ながら本状をもってお礼申し上げます
敬白
令和〇年〇月
■供花とは? 送り方、金額の相場、お礼・お返しに関して詳しくはこちら第5章 喪主が通夜・葬儀でお礼の挨拶をする場面と挨拶例
喪主は、通夜や葬儀・告別式をとおして、いくつもの場面で挨拶を行います。
喪主の挨拶は遺族の代表として故人に代わり、参列者に感謝の気持ちを伝える大切な役割です。
また、親族や参列者、宗教者に対して個別に挨拶をすることもあります。
もし喪主が高齢や体調不良などで挨拶が難しい場合は、故人と関係の深い遺族が代行します。
・宗教者の出迎え、見送り
・通夜式の終了時
・通夜振る舞いの開始時、終了時
・宗教者の出迎え・見送り
・告別式終了時(出棺)
通夜では、宗教者をお迎えしたら控室へ案内し、まずは喪主が直接挨拶します。
また、弔問客が焼香するときは、喪主や遺族は座ったまま黙礼するのが一般的です。
宗教者の読経が終わり、弔問客の焼香がひととおり終わったタイミングで挨拶を述べ、その後は通夜振る舞いの開始と終了時に挨拶をします。
葬儀・告別式での挨拶は、出棺の直前に行うのが一般的です。精進落としの席では、会食を始める前と終えるときに喪主や遺族が感謝を述べて、締めくくります。
喪主挨拶のポイント
喪主が参列者に挨拶する際で最も大切なのは、「感謝の気持ち」を伝えることです。
葬儀に参列していただいたことへのお礼や、故人が生前にお世話になったことへの感謝を、できるだけ素直に、自分の言葉で述べましょう。
- 挨拶の長さ
一般的に1~3分程度が目安です。すべて暗記する必要はありません。メモを見ながらでも、ゆっくり落ち着いて話すほうが好印象です。 - 挨拶の流れ(形式)
1.自己紹介(喪主と故人の続柄)
2.弔問への感謝(参列者へお礼を述べる)
3.生前のお礼(故人がお世話になったことへの感謝)
4.故人のエピソード(故人の人柄が伝わる思い出など)
5.今後のお願い(故人同様、遺族も変わらず支援をお願いしたい旨)
挨拶の言葉に困る場合は文例やテンプレートを参考にしたり、葬儀社の担当者に相談してみるとスムーズです。
通夜の挨拶例
宗教者への挨拶例
本日は父〇〇のためにお運びいただき、ありがとうございます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
弔問客への挨拶例
本日はお忙しい中、ご焼香をいただきまして誠にありがとうございました。
また、故人が生前賜わりましたご厚情に対しまして、厚く御礼申し上げます。
通夜振る舞いの開始時 挨拶例
本日はお忙しい中、母 ○○ の通夜にご参列いただきまして
誠にありがとうございます。
ささやかではございますが、お食事を用意させていただきました。
故人の供養になりますので、どうぞお召し上がりください。
通夜振る舞いの終了時 挨拶例
本日はお忙しい中、亡き ○○ の通夜にご参列いただきまして、
誠にありがとうございます。
故人が生前たまわりましたご厚誼に、心より感謝申し上げます。
まだまだ〇〇を偲んでいただきたいところでございますが、
夜も更けてまいりましたので、本日はお開きとさせていただきます。
なお、明日の葬儀・告別式は午前△時より◇◇にて執り行う予定でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。
葬儀・告別式の挨拶
葬儀・告別式で挨拶のタイミングは、一般的に火葬場へ向けて出棺する直前です。
告別式終了時(出棺)の挨拶例
遺族を代表いたしまして皆様にご挨拶申し上げます。
私は故 〇〇 の長男 ○○ でございます。
本日はお忙しい中、ご会葬いただきまして誠にありがとうございます。
おかげさまをもちまして、昨日の通夜、本日の告別式を
とどこおりなく執り行うことができました。
父が晩年を豊かに過ごすことができましたのも、
ひとえに皆様のご厚情のたまものと、深く感謝いたしております。
故人に代りまして心よりお礼申し上げます。
今後とも故人の生前同様、皆様のお力添えを賜わりますようお願い申し上げます。
本日は最後までのお見送り、誠にありがとうございました。
宗教者へのお礼の挨拶例
この度は誠にありがとうございました。
お陰様でとどこおりなく葬儀を終えることができました。
後日の法要につきましては、あらためてご連絡させていただきますので、
何卒よろしくお願い申し上げます。
精進落としの挨拶
告別式の終了後や初七日法要後に振る舞う料理を「精進落とし」と言います。
喪主は参列者に葬儀を無事に終えられたことへのお礼を述べます。
開始時の挨拶例
本日はお忙しい中を、お越しいただきありがとうございました。
皆様にご参列いただき ○○ もさぞかし喜んでいることと思います。
ささやかではございますが、お食事を用意させていただきましたので、
お時間の許す限りおくつろぎください。
生前の〇〇のお話などお聞かせいただければ幸いです。
終了時の挨拶例
本日は長時間にわたりお付き合いいただきまして、心より御礼申し上げます。
まだごゆっくりしていただきたいところですが、お時間となりましたので
勝手ではございますが、この辺りでお開きにさせていただきたいと存じます。
何かと行き届かない点がございましたことをお詫び申し上げます。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は誠にありがとうございました。
ご葬儀後のお礼については、お葬式のむすびすにご相談ください
ご葬儀にご参列いただいた方々のほかにも、お世話になった宗教者や地域の世話役、近隣の方々、職場の上司や同僚、遠方からお越しいただいた方、また弔電や供花・供物をいただいた方などにも、挨拶回りやお礼状で感謝を伝えることがマナーです。
しかし、具体的に「どこまでの範囲をお世話になった方とみなすか」や「直接伺うことにためらいがある」「お礼状のしきたりやマナーが分からず、失礼になるのではないかと不安」といった声も多く聞かれます。
さらに、「自筆の手紙を書いた経験がなく、どのように書いたらよいのか分からない」という場合も少なくありません。
こうした悩みを解消するには、専門家に相談して安心できるアドバイスを受けることが一つの方法です。
お葬式のむすびすでは、ご遺族様のご意向に沿った香典や供花の辞退方法をはじめ、葬儀でお渡しする会葬礼状と返礼品の手配についてもサポートしています。
即日返しや後日返しなど地域の慣習に合わせた流れを案内し、知識と経験を持つ専門相談員が、葬儀後の挨拶回りやお礼状の作成についてもきめ細かくお手伝いいたします。
故人様とご遺族様のために“その人らしい葬儀”を大切に考え、葬儀後の日常へ戻るまでのあいだ、安心して過ごせるよう寄り添い続けるのが私たちの役目です。どのような小さな不安でも、お気軽にご相談ください。
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