葬儀の平服マナー|男性・女性別の服装例と注意点

葬儀の場にふさわしい「平服」の基準と考え方を理解し、適切な服装で参列するための基本情報を解説します。

「平服でお越しください」と記載された葬儀の案内では、礼服の着用が必須ではないことが示されている一方で、具体的にどのような服装が適切なのか判断が難しいケースがあります。

特に通夜や家族葬など、形式にとらわれない葬儀が増える中で、「平服」の捉え方にも一定の幅が生まれています。

平服といっても、カジュアルすぎる装いはマナー違反と見なされる可能性があります。場の雰囲気や地域の慣習を踏まえた、失礼のない服装選びが求められます。

葬儀における「平服」とは?

葬儀の案内で指定される「平服」は、日常的な私服とは異なり、ある程度の礼節を保った装いを指します。

言葉のイメージと実際のマナーにギャップがあるため、正しく理解しておくことが重要です。

平服とは、礼服以外で格式を保った装いを意味する

「平服」とは、礼服(いわゆる喪服)よりも形式を抑えた装いを意味し、私服やカジュアルウェアとは区別されます。

葬儀において平服の指定がある場合、これは喪主や遺族の意向によって、過度にかしこまらずに参列してもよいことを示していますが、略礼服に準じた落ち着いた服装が基本とされます。

平服=私服ではないという点に注意が必要

平服といっても、普段着として着用するようなTシャツ、ジーンズ、スニーカーなどのラフな装いは不適切です。

あくまでも葬儀の場にふさわしい、地味な色合い・控えめなデザイン・清潔感のある服装が求められます。

男性であればダークスーツやジャケットスタイル、女性であればブラックやネイビー系のセットアップやワンピースなどが該当します。いずれの場合も、派手な装飾や露出の多い服装は避けるべきとされています。

平服の指定がされる背景

近年、家族葬や一日葬といった小規模な葬儀形式が増加しています。

このような葬儀では、形式よりも故人との別れを重視する風潮があり、参列者に対しても喪服の着用を強制しない傾向があります。これにより、案内状や口頭で「平服でお越しください」と伝えられる場面が増えています。

ただし、葬儀の雰囲気や地域性、遺族の価値観によって「平服」の基準には幅があるため、最低限の礼節を保った服装で参列することが求められます。

【男性編】葬儀の平服マナーとおすすめコーデ

葬儀における男性の平服は、基本的に略礼服に近いスタイルが基準となります。黒を基調としたスーツスタイルが最も一般的であり、喪服と違って礼装としての決まりは緩やかですが、清潔感と控えめな印象が求められます。

基本の服装

  • ダークカラー(黒・濃紺・チャコールグレー)のスーツ
  • 無地の白いワイシャツ
  • 黒またはダークグレーの無地ネクタイ
  • 黒の革靴(内羽根式などフォーマル寄りが好ましい)
  • 派手なベルトや時計は避ける

平服指定であっても、ビジネススーツに準じたスタイルであれば違和感はなく、フォーマルな印象を保つことができます。

ジャケット×スラックスでも対応可能

喪服を持っていない場合や、平服の指定がある場合には、ダークカラーのジャケットとスラックスの組み合わせでも対応可能です。上下がセットアップでなくても、トーンが統一されていれば問題ありません。ネクタイを着用することで、より礼儀を重んじた印象になります。

避けるべき服装・小物

  • ジーンズやチノパンなどカジュアルなボトムス
  • スニーカーやサンダル
  • アウター類で派手な色・柄のコート

コートや傘などの持ち物にも配慮が必要です。会場の入り口で脱ぐことを前提に、派手さを避けた落ち着いた色合いのものが好まれます。

【女性編】葬儀の平服マナーとおすすめコーデ

女性の平服は、形式に縛られすぎない一方で、配色やシルエット、素材選びによって印象が大きく左右されます。過度な装飾を避け、落ち着いた印象を与える装いが基本となります。

基本の服装

  • 黒・ネイビー・グレーなどの落ち着いた色のワンピース、セットアップ、スーツ
  • 膝が隠れる丈のスカート、またはストレートシルエットのパンツ
  • 肌の露出を控えたデザイン(ノースリーブや深いVネックは避ける)
  • 黒のパンプス(3〜5cm程度の低めのヒールが望ましい)

素材は光沢のないものが適しており、シフォンやサテンなど華やかさのある素材は避けた方が無難です。

バッグやアクセサリーの注意点

  • バッグは黒のシンプルなもの(布製やレザー、装飾のないもの)
  • アクセサリーは基本的に控える(結婚指輪程度)
  • 真珠のネックレスは着用可(1連・白・短めで控えめなものに限る)

香水や派手なネイルも控えた方が良いとされます。香りや色味に関しては、葬儀の場に不適切と捉えられることがあるため注意が必要です。

避けるべき服装・スタイル

  • 明るい色(白、ベージュ、ピンクなど)
  • 華美な柄物・フリル・リボン付きの服
  • 肩が出る服やミニ丈スカート
  • ストッキングなし、素足
  • ミュールやサンダル、オープントゥの靴

黒ストッキングの着用が一般的ですが、肌色ストッキングでも清潔感がありシンプルなものであれば許容される場面もあります。

季節ごとの注意点(夏・冬)

葬儀における平服は通年を通して「地味・清潔・控えめ」が基本ですが、夏や冬のように気候の影響が大きい時期には、季節に合った配慮が求められます。場の雰囲気にふさわしい装いを維持しつつ、体調や実用性にも考慮した服装選びが重要です。

夏の服装で気をつけたいポイント

素材は通気性と落ち着きを両立できるものを選ぶ
 → リネンやシアサッカーなどの軽やかな素材は避け、ポリエステルやウール混の落ち着いた質感を優先する

半袖はマナー違反ではないが、慎重な判断が必要
 → 男性はジャケット着用を前提とし、半袖シャツでも無地・白系であれば許容される場合もある
 → 女性は七分袖や軽素材の長袖ブラウスなど、露出を抑えつつ涼しさを確保できる工夫が求められる

黒の薄手ストッキングや夏用スーツの活用
 → 通気性に優れた夏用フォーマルウェアを活用することで、見た目と快適さを両立できる

汗対策と身だしなみのバランス
 → 汗ジミが目立たないインナーの使用、汗拭きシートは香りが強くないものを選ぶ

冬の服装で気をつけたいポイント

防寒とフォーマル感の両立が重要
 → コートは黒・濃紺・チャコールグレーなどの落ち着いた色を選び、装飾や光沢が強いデザインは避ける
 → 中に着込む場合も、見える部分の色と素材に注意する(ニットの色が目立たないように調整)

防寒小物の扱い方
 → マフラーや手袋は無地で暗色系を選び、会場内では必ず外す
 → ニット帽や耳当てなどカジュアルな印象の強いものは使用を避ける

足元にも配慮を
 → 防寒用タイツは40デニール以上であればフォーマル感を損ないにくい
 → 滑りにくい革靴を選ぶことで、積雪・雨天時の安全面にも対応

葬儀の平服よくある質問

葬儀で「平服」と指定された際に、多くの人が抱きやすい疑問をQ&A形式でまとめました。場にふさわしい装いを判断する際の参考にしてください。


平服指定でもネクタイは着けるべきですか?

はい。男性の場合、平服であってもネクタイの着用が基本とされています。黒や濃いグレーなどの無地で、派手さのないものを選んでください。ノーネクタイはビジネスカジュアルとして認識されるため、葬儀の場には適しません。

黒以外のスーツでも大丈夫ですか?/p>

黒が最も無難ですが、濃紺やチャコールグレーなどの暗色系であれば問題ありません。ただし、明るめのグレーやストライプ柄の強いものは避けた方が良いでしょう。

手持ちの服で代用できますか?

葬儀の場にふさわしい色・デザインであれば、必ずしも専用の礼服でなくても構いません。手持ちのスーツやセットアップを活用する場合は、アクセントになる装飾や明るい色合いが含まれていないか事前に確認してください。

ユニクロや無印の服でも問題ありませんか?

アイテムによっては適切に対応できます。シンプルな黒のジャケットやセットアップ、白シャツなどを組み合わせることで、十分マナーに沿った装いに調整することが可能です。質感やサイズ感に注意し、カジュアル感が強く出ないよう心がけましょう。

ストッキングは必須ですか?

女性の場合、素足での参列は避けるべきとされています。黒のストッキングが基本ですが、肌色でも目立たず上品な印象のものであれば許容される場面もあります。カラータイツや柄物はNGです。

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