【徹底解説】葬儀のアクセサリーの着用マナー。真珠をつけないとダメ? 正しい身だしなみのポイント

葬儀では服装だけでなく、アクセサリーや小物にもマナーがあります。「結婚指輪はつけて良い?」「真珠のネックレスは必須?」など、葬儀で知っておきたいアクセサリーと身だしなみのポイントを徹底解説します。慌てずに対応できるよう、マナーを押さえておきましょう。

第1章 葬儀で身につけるアクセサリーの基本マナー

葬儀では、装い全体のマナーが大切です。
現代では黒い喪服が一般的ですが、本来、日本の喪服は「素服(しろきもの)」と呼ばれる白装束で、アクセサリーをつける習慣はありませんでした。
この白色は「浄化」や「死者の魂を清める」という意味を持ち、古代から江戸時代にかけて葬儀の正式な服装とされてきました。
明治時代以降、西洋文化の影響で黒い喪服が普及し、現在では黒が喪服の基本となっています。
しかし、一部地域ではアクセサリーをつけない慣習が今も残っています。
日常的にアクセサリーを身につけることが一般的な現代だからこそ、葬儀の場にふさわしいアクセサリーの選び方が重要です。ここでは、基本的なマナーをご紹介します。

結婚指輪以外のアクセサリーは避ける

葬儀では、結婚指輪以外のアクセサリーを身につけないのが基本です。
ただし、真珠(パール)は「人魚の涙」と呼ばれ、悲しみを象徴するため、唯一身につけても良いとされています。

  • パールネックレス: 短めの一連タイプが基本です。2連やロングネックレスは「不幸が重なる」「悲しみが長引く」という意味があり避けましょう。
  • パールイヤリング・ピアス: シンプルで揺れないデザインが適切です。

第2章 葬儀に適したアクセサリー

真珠(パール)は葬儀に着用できる代表的な宝石

真珠(パール)は、古くから「人魚の涙」や「月の雫」と呼ばれ、悲しみを象徴する宝石として親しまれてきました。
エジプト、ギリシア、ローマ、インドなどで富と権力の象徴として珍重され、日本でも縄文時代の遺跡から出土するなど、長い歴史があります。
日本最古の物語『竹取物語』や『古事記』『日本書紀』にも登場し、その神秘的な輝きが純潔や長寿、母性などを象徴するとされています。
葬儀においては、この「涙の象徴」として唯一ふさわしい宝石とされています。

パールネックレスの選び方

    パールネックレスは冠婚葬祭で活躍しますが、葬儀では以下のポイントを押さえましょう

  • 形状:球形(ラウンド)を選び、光沢の強すぎるものは避けます。
  • :ホワイト、ブラック、グレーが適切です。
  • 長さ:首に沿う短めのチョーカー(40cm)が基本。
  • デザイン:一連タイプが無難。2連ネックレスは「不幸が重なる」、ロングタイプは「悲しみが長引く」とされ、避けましょう。
OK例 NG例
ホワイト、ブラック、グレー ピンク、グリーン、ピーコックカラー
球形(ラウンド、セミラウンド) ドロップ、オーバル、バロックなど
大きさ アコヤ真珠で7mm~8mm
黒真珠は10mm以内
大ぶりなもの
デザイン 一連タイプ(40cm程度) ロングタイプ、二連タイプ、一粒タイプ

パールイヤリング・ピアスの選び方

    イヤリングやピアスもシンプルなデザインが基本です。ネックレスとセットで揃えると統一感が出ます。

  • OK例:真珠1粒、固定されたデザイン、シルバーの金具
  • NG例: チャームが揺れるフープ式やチェーン式、派手な金具
OK例 NG例
ホワイト、ブラック、グレー ピンク、グリーン、ピーコックカラー
球形(ラウンド、セミラウンド) ドロップ、オーバル、バロックなど
デザイン 真珠1粒、固定されたデザイン
シルバーの金具
真珠2粒以上、揺れるデザイン
ゴールドの金具

結婚指輪について

    結婚指輪は葬儀で唯一許容される装飾品のひとつですが、派手なデザインや大きな宝石の付いたものは避けましょう。

  • 推奨:シンプルなデザイン、小ぶりの宝石
  • NG例: 派手なデザイン、大ぶりな宝石、ゴールドの金具
  • 結婚指輪を外す場合、ふとした衝撃で宝石を傷つける恐れがあるため、自宅のジュエリーケースに保管しておくのも良い選択です。

OK例 NG例
デザイン シンプルなデザイン
小ぶりの宝石がついたもの
派手なデザイン
大ぶりな宝石がゴールドの金具

第3章 葬儀で着用を控えるべきアクセサリー

葬儀は故人を追悼し、遺族や参列者が静かにお別れをする場です。
派手なアクセサリーや光り輝く宝石、お洒落な装身具、カジュアルな小物類は控えましょう。落ち着いた装いを心がけることが、葬儀のマナーです。

|腕時計

    葬儀の場で時間を気にするしぐさは失礼にあたるため、腕時計の着用は避けるのが望ましいです。どうしても必要な場合は、以下を意識してください。

  • OK例:黒やシルバーのシンプルなデザイン
  • NG例:金(ゴールド)や派手なデザイン、音や光を発するもの

|ブローチ

    西洋のモーニングジュエリーでは弔事用ブローチの着用が一般的ですが、日本ではあまり浸透していません。使用する場合は以下の点に注意しましょう。

  • OK例:ジェット(黒玉)、黒珊瑚、パール(グレー系)、黒真珠など落ち着いたデザイン
  • NG例:ダイヤモンド、金(ゴールド)、スワロフスキーなどの輝く装飾

|ヘアアクセサリー

    ロングヘアの場合は、お焼香や挨拶時に邪魔にならないよう、まとめることがマナーです。

  • OK例:黒のヘアゴム、ヘアネット、バレッタ(光沢がないもの)
  • NG例:ビジュー、シュシュ、カチューシャなどの派手な髪飾り

第4章 真珠(パール)以外の葬儀で身につけていいアクセサリー

葬儀のアクセサリーといえば真珠(パール)が定番ですが、西洋のモーニングジュエリーでは、その他の落ち着いた宝石も使用されています。
ここでは代表的な宝石とその特徴を解説します。

|ジェット (jet)

    ジェットは、太古の樹木が化石化してできた黒色または濃褐色の宝石で、モーニングジュエリーを代表する素材のひとつです。

  • 歴史:古代ローマでは指輪やネックレスとして使用され、修道士のロザリオにも用いられました。
  • 特徴:その質素で落ち着いた黒色が喪服に適しており、英国では葬儀用のジュエリーとして広く親しまれています。
  • 日本の事例:明治時代、日本の皇室が英国王室の服喪文化を取り入れ、黒い礼服にジェットを合わせるスタイルが定着しました。

|オニキス (onyx)

    オニキスは瑪瑙(めのう)の一種で、カメオ細工にも用いられる宝石です。

  • 特徴:特にブラックオニキス(黒瑪瑙)は、深い黒色と控えめな輝きが特徴。魔除けの力があると信じられ、数珠やお守りの素材にも使われています。
  • 用途:最近ではモーニングジュエリーのネックレスやイヤリングとしても人気があります。

|黒曜石 (obsidian)

    黒曜石は、マグマが急速に冷えてできた天然石で、古くから人類との関係が深い宝石です。

  • 歴史:日本では旧石器時代から刃物や矢じりに使用されていました。
  • 特徴:深い黒色が邪気除けの力を象徴し、光の角度によって内側に黒緑の光を放つことがあります。
  • 用途:近年では、数珠やお守りだけでなく、モーニングジュエリーの素材としても注目されています。

|黒珊瑚 (black coral)

    黒珊瑚は、深海に生息する希少な枝状の珊瑚から作られる宝石です。

  • 歴史:中国やチベットでは古代から珍重され、ヨーロッパでは淡いピンク色が、アジアでは濃い赤色が好まれています。
  • 特徴:黒珊瑚は吸い込まれるような漆黒の輝きを持ち、希少性が高いため現在は輸入が禁止されています。
  • 用途:その上品な輝きから、モーニングジュエリーとして国内外で広く使用されています。

第5章 葬儀でアクセサリーをつけるときの注意点

葬儀で身につけるアクセサリーは、色合いやデザインの統一感が求められます。適切な選択をすることで、故人や遺族への敬意を示すことができます。
アクセサリーの色とデザインの統一

  • パールアクセサリーネックレスがホワイトパールであれば、イヤリングやピアスもホワイトパールで統一するのが基本です。
    色味やデザインを揃えることで、全体の印象が落ち着きます。
  • NG例:ネックレスとイヤリングの色が異なる、派手な装飾がついたものは避けましょう。
宗旨宗派や地域の慣習を考慮

    葬儀におけるアクセサリーの考え方は、以下の要素によって異なることがあります

  • 宗教や宗派の教え
  • 故人や遺族の意向
  • 参列者の年齢層や立場
  • 地域の慣習

たとえば、西洋では一般的なモーニングジュエリーも、日本では認知度が低いため、遺族の意向にそぐわない場合があります。
判断に迷ったときは遺族の気持ちを優先
冠婚葬祭のマナー本やインターネットの情報は参考になりますが、最終的には遺族の気持ちを何よりも優先することが大切です。
迷った場合は、葬儀社や遺族に相談して判断しましょう。

第6章 アクセサリー以外の身だしなみの注意点

通夜や葬儀・告別式では、アクセサリー以外にも礼儀やマナーをわきまえた身だしなみが求められます。
社会人として心得ておくべき基本的な装いについてご紹介します。

葬儀の服装

男性の服装
  • 準礼装(喪服):ダブルまたはシングルのブラックスーツ。スリーピースの場合は、ベストも黒に統一します。
  • 代替案:ダークスーツに地味な色のネクタイを合わせた準礼装でも可能です。
  • 詳細: ワイシャツは白無地でレギュラーカラー、ネクタイは黒の無地。足元は黒の靴下と黒の革靴で統一してください。
女性の服装
  • 基本スタイル:黒のワンピース、スーツ、アンサンブル、またはパンツスーツ。インナーも黒を選び、光沢や透け感のない素材を使用します。
  • スカート丈:ミディアム丈(膝下)が適切。夏の場合、袖丈は六分丈でも問題ありません。
  • 靴とストッキング: 飾りのない黒のパンプスやローヒールの靴を履きます。ストッキングは黒またはベージュを選びましょう。

髪型・メイク

    シンプルで控えめな髪型とメイクが、葬儀の場にふさわしいとされています。

  • 髪型:肩より長い髪は、お焼香の際に邪魔にならないよう、黒のヘアゴムやバレッタで一つにまとめましょう。ヘアアクセサリーは黒のリボンのみ許容され、派手な装飾は避けてください。
  • メイク:ミディアム丈(膝下)が適切。夏の場合、袖丈は六分丈でも問題ありません。

持ち物

葬儀に参列する際には、服装だけでなく持ち物にも注意が必要です。

数珠(念珠、誦珠)

数珠は葬儀や法要、墓参りなどの仏事に欠かせない仏具です。数珠は家族であっても貸し借りするものではありません。
各々自分の数珠を持つのが基本です。
数珠は宗派によって珠の色や素材、房の数などに決まりがある「本式数珠(本連数珠)」。
宗派を問わず使える「略式数珠(八宗用数珠・式片手数珠)」。男性用、女性用などさまざまな種類があります。
葬儀に参列するときは自分の宗派と異なることが大半なので、宗派を問わず使える略式数珠を選ぶ人が多いようです。

  • OK例:略式数珠(宗派を問わないもの)、自身の宗派に合わせた本式数珠。
  • NG例:家族間での貸し借り、派手な色やデザインの数珠。

袱紗(ふくさ)

袱紗は葬儀や結婚式に渡す金品を包む布です。葬儀では香典袋をむき出しで持参せず、袱紗で包むのが正式です。
袱紗は用途によって使う色が違います。
弔事に用いるのは紺色、藍色、鶯色、灰色など、慶弔両方で使えるのは紫色です。
弔事における袱紗の包み方は、ひし形に置いた袱紗の中央よりやや右寄りに香典袋を表向きに置き、右、下、上、左の順番で折って包みます。
包み方の順番には、「繰り返し不幸が起きないように」という意味が込められています。

  • OK例:紺、藍、鶯、灰色、または慶弔両用の紫色。
  • NG例:明るい色や派手な模様、香典袋をむき出しで持参すること。

ハンカチ

本来、白い無地が基本ですが、最近は喪服の色に合わせた黒色も一般的になりました。
素材は綿や麻、ポリエステルのものを選び、光沢のあるシルクやタオル地は避けましょう。
目立たない織り柄や控えめなレース、ワンポイントの刺繍であれば問題ありません。

  • OK例:白無地、黒無地、控えめなレースや刺繍付き。
  • NG例:光沢のあるシルク、タオル地、派手な柄や色。

バッグ

黒の布製が最もふさわしいとされます。
無地が基本ですが黒の刺繍やリボンであれば問題ありません。
光沢のない表革やスエード、ホースヘア、シャークスキンも金具やブランドロゴなどが付いていなければOKです。
光沢のあるエナメル、殺生を思わせる爬虫類やオーストリッチはNGです。

  • OK例:黒の布製バッグ、黒の刺繍やリボン付き(控えめなもの)。
  • NG例:光沢のあるエナメル、爬虫類素材、オーストリッチ、金具やブランドロゴが目立つデザイン。

黒い傘が最も適していますが、紺色やグレーなどの落ち着いた色の傘でもかまいません。
色柄の傘しか持っていない場合は、白や透明のビニール傘でも問題ありません。
雨天や雪の日の葬儀は足元が滑るので危険です。雨の日は雨靴や長靴、ラバーソールの靴で参列してもマナー違反ではありません。

  • OK例:黒、紺、グレーの落ち着いた色、白や透明のビニール傘(やむを得ない場合)。
  • NG例:派手な色や柄付きの傘。

マフラー、ストール

マフラーやストールも黒い無地が理想ですが、白、アイボリー、紺色、グレー、ベージュなどの落ち着いた色であれば問題ありません。
マフラーやストールは式場に着いたら外しましょう。

  • OK例: 黒無地、落ち着いた色合い(白、アイボリー、紺、グレー、ベージュなど)。
  • NG例:鮮やかな色、派手な模様や装飾。

よくある質問

お葬式で男性が身につけて良いアクセサリーはありますか?

葬儀におけるアクセサリーの考え方は、基本的に男女共通です。結婚指輪以外の装飾品は外して参列しましょう。以下の点に注意してください
NG例:ボタンダウンのシャツ、カフスボタン、ネクタイピンは避けます。
腕時計:原則外しますが、どうしても必要な場合はシルバーなどシンプルでシックなデザインを選びましょう。

服装やアクセサリー以外に気をつけるべき身だしなみのマナーは?

葬儀では香水をつけるのはNGです。仏教ではお焼香の香りを仏様の食物と捉え、心身を清める意味があります。そのため、以下に注意しましょう
NG例:香りの強い化粧品やヘアスプレー、香水の使用は控えましょう。
理由:強い香りは周囲の参列者に不快感を与える可能性があるため、香りを控えめにすることが大切です。

ゴールドやシルバーのアクセサリーは葬儀に着用しても良いですか?

ゴールド(金)のアクセサリーは派手な印象を与えるため、葬儀には不適切です。以下を参考にしてください
OK例:艶消しのシルバー素材のバックルや装飾が控えめなもの。
NG例:装飾が多いシルバーアクセサリーや目立つデザインの金具は避けましょう。

宗教によって葬儀に着用するアクセサリーは違いますか?

仏教、神道、キリスト教いずれの葬儀でも、結婚指輪以外のアクセサリーは外して参列するのが基本です。
理由:故人を悼む場では、装飾品で着飾ることはマナー違反とされます。どの宗教でも静かに故人を送ることが重視されます。


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