葬儀費用のお金がない|低価格の葬儀・公的支援の活用方法

葬儀の一般的な費用相場を整理し、費用を抑えた葬儀の方法や公的支援の活用について解説します。

葬儀には一定の費用がかかりますが、経済的な理由でその負担が難しい場合があります。日本消費者協会の「葬儀に関する全国調査(2020年)」によると、葬儀の平均費用は約195万円とされており、突然の出費としては大きな負担となることが分かります。

一方で、費用を抑えた葬儀の選択肢もあり、直葬(火葬のみ)や家族葬を選ぶことで、負担を軽減できる場合があります。また、公的支援制度を利用できるケースもあるため、適切な情報を把握することが重要です。

一般的な葬儀費用の相場

葬儀にかかる費用は、形式や地域、葬儀社によって異なりますが、全国的な調査結果や実際の葬儀プランの価格をもとに、代表的な形式ごとの費用相場を示します。

① 一般葬(従来の葬儀形式)

費用相場:100万〜200万円

特徴:通夜・告別式を行い、親族や知人が参列する形式です。

主な内訳

葬儀一式費用(約121万円):会場費、祭壇費、棺、遺影写真など

飲食接待費(約32万円):通夜振る舞いや精進落とし

僧侶への謝礼(約47万円):読経や戒名授与など


全国平均では約195万円の費用がかかりますが、地域や選ぶプランによって変動します。

② 家族葬(小規模な葬儀)

費用相場:50万〜100万円

特徴:親族や近親者のみが参列する小規模な葬儀です。一般葬と比較すると規模が小さく、参列者への接待費用を抑えられることが特徴です。

主な内訳

葬儀一式費用(約50万円〜70万円)

僧侶への謝礼(約20万円)(省略する場合もあり)

飲食接待費(10万円前後)


親族のみで執り行うため、飲食接待費や会場費が抑えられる傾向にあります。

③ 直葬(火葬のみ)

費用相場:10万〜30万円

特徴:通夜や告別式を行わず、火葬のみを実施する形式です。一般的に最も費用を抑えやすい葬儀形態とされています。

主な内訳

火葬費用(約5万円〜10万円):自治体によって異なる

棺や骨壺など(約5万円〜10万円)


一般葬と比べて、葬儀会場費や僧侶への謝礼が不要なため、費用が大幅に低くなります。

④ 自治体による火葬(行旅死亡人としての対応)

費用:基本的に遺族の負担なし

特徴:身寄りがない場合や遺族が引き取りを辞退した場合、自治体が火葬・埋葬を行います。自治体ごとに対応が異なりますが、多くの自治体では行旅死亡人(こうりょしぼうにん)として扱われ、簡易的な火葬が実施されます。

留意点

遺骨の引き渡しが行われない場合がある

死亡届の提出が必要になる場合がある


この制度は、身寄りがいない場合や経済的に困難な場合に適用されることが多いですが、自治体によって運用が異なるため、事前に確認が必要です。

お金がなくてもできる葬儀の方法

経済的な事情により葬儀費用の負担が難しい場合でも、費用を抑えた方法で故人を見送ることは可能です。低価格の葬儀プランを利用する方法や、公的支援を活用する手段について詳しく解説します。

費用を抑えた葬儀プランを選ぶ

葬儀の形式を工夫することで、費用を大幅に抑えることができます。以下に、代表的な低価格の葬儀方法を紹介します。

① 直葬(火葬のみ)を選択する

直葬とは、通夜や告別式を行わず、火葬のみを執り行う葬儀形式です。最も費用を抑えやすく、遺族の経済的負担を軽減できます。

費用相場:10万円~30万円(葬儀社や地域によって異なる)

内訳

火葬料金(約5万〜10万円)(自治体によって異なる)

棺・骨壺などの必需品(約5万〜10万円)

搬送費・手続き代行費用(約5万〜10万円)

メリット

葬儀費用を最小限に抑えられる

式場の使用料や僧侶への謝礼が不要

手続きが比較的簡単

デメリット

告別の場がなく、遺族や親族の理解が必要

香典が集まりにくく、費用負担を軽減しにくい

② 家族葬にして規模を最小限にする

家族葬とは、親族や近親者のみで行う小規模な葬儀です。一般葬より費用を抑えつつ、故人を見送る儀式を行うことができます。

費用相場50万~100万円

メリット

参列者が少ないため、飲食接待費や香典返しの負担が軽減される

親族のみの葬儀のため、故人との時間をゆっくり過ごせる

デメリット

一般葬に比べると費用削減の効果は限定的

遠縁の親族や知人が参列できない場合がある

③ 葬儀社の格安プランを利用する

多くの葬儀社では、低価格の「火葬式プラン」や「簡易葬儀プラン」を提供しています。これらのプランを利用することで、費用を抑えつつ、必要最低限の儀式を執り行うことができます。

プラン例(価格は一例)

火葬式プラン:10万~20万円(直葬と同様の形式)

シンプル家族葬プラン:30万~50万円(家族葬を簡素化したもの)


プラン内容や価格は葬儀社ごとに異なるため、事前に確認することが重要です。

公的支援制度を活用する

経済的に厳しい状況で葬儀費用を負担できない場合、公的支援制度を利用できる可能性があります。

① 生活保護受給者向けの「葬祭扶助」を利用する

生活保護を受給している場合、葬祭扶助制度を利用できる可能性があります。これは、葬儀費用を自治体が負担する制度で、生活保護受給者またはその扶養義務者が支払い困難な場合に適用されます。

支給上限額:20万円前後(自治体によって異なる)

適用条件

故人が生活保護受給者である

申請者が葬儀費用を負担できない経済状況にある

申請前に葬儀を行っていないこと(事前申請が必要)

申請方法:故人が居住していた自治体の福祉事務所に相談し、必要書類を提出

② 自治体の葬儀補助金制度を確認する

一部の自治体では、住民向けに葬儀補助金制度を設けている場合があります。支給金額や条件は自治体ごとに異なるため、役所や福祉課に問い合わせることが必要です。

補助金の例

東京都23区:火葬費の補助(5万円前後)

大阪市:低所得者向けの葬儀費補助(10万円前後)


各自治体によって制度が異なるため、事前に確認することが重要です。

③ 社会保険や共済の給付金を活用する

故人が会社員や公務員であった場合、加入していた健康保険や共済組合から葬祭費や埋葬料が支給されることがあります。


【支給される可能性がある給付金】

地域
給付金額
申請先
健康保険の埋葬料
5万円程度
故人が加入していた健康保険組合
国民健康保険の葬祭費
3万〜7万円
市区町村の役所
共済組合の葬祭費
10万〜50万円
加入していた共済組合

給付金を受け取ることで、葬儀費用の一部を補填できる場合があります。

葬儀費用の分割払い・ローンを活用する

葬儀費用を一括で用意できない場合、分割払いが可能な葬儀社を利用する選択肢もあります。

① 葬儀ローンの活用

葬儀ローンは、葬儀費用を金融機関や葬儀社が提供するローンサービスで支払う方法です。

主な特徴

分割払いが可能(月々5,000円〜1万円程度の支払いが可能)

金利が発生するため、総支払額は増える

審査が必要(収入状況により利用できない場合もある)


金融機関や葬儀社によって条件が異なるため、金利や返済条件を確認することが重要です。

葬儀費用を抑えるための注意点

葬儀費用を抑えるために低価格のプランを選んだり、公的支援を活用したりする方法がありますが、注意すべき点もあります。追加費用が発生するケースや、相続の影響について事前に把握しておくことが重要です。

葬儀社選びで注意するポイント

低価格の葬儀プランを選ぶ際には、追加費用が発生しないかを事前に確認する必要があります。

追加費用が発生しやすい項目

搬送費:病院から安置場所への搬送が別途料金となる場合がある(1回あたり2万〜5万円)

火葬場使用料:自治体によっては別途費用がかかる(1万〜10万円)

ドライアイス:遺体の保存に必要で、日数が増えると追加費用が発生する(1日あたり5,000円〜1万円)

僧侶への謝礼:読経や戒名の依頼をすると、別途費用がかかる(3万〜50万円)


見積もりを依頼する際は、上記の費用が含まれているかどうかを確認することが重要です。

香典の活用を検討する

一般的な葬儀では、参列者からの香典が収入となり、葬儀費用の一部を補填することができます。ただし、香典を受け取る場合は、以下の点に注意が必要です。

お香典を活用するメリット

葬儀費用の一部を負担できる

遺族の経済的負担が軽減される

注意点

親族のみの家族葬や直葬では、香典が集まりにくい

香典返し(返礼品)の費用がかかる場合がある


香典の受け取りについては、親族と事前に話し合っておくことが望ましいです。

相続放棄をする場合の注意点

故人に負債がある場合、遺族が相続を放棄することで借金を引き継がないようにすることが可能です。しかし、相続放棄をすると葬儀費用の支払いもできなくなるため、注意が必要です。

相続放棄をするとどうなるか?

遺産(資産・負債)の相続権を放棄できる

葬儀費用も遺産から支払えなくなる(相続放棄後は遺族が自己負担することになる)

対策

相続放棄をする前に、遺産から葬儀費用を支払っておく

負債の有無を確認し、必要に応じて弁護士に相談する


葬儀費用を支払った後に相続放棄をすることは可能なため、適切なタイミングで手続きを行うことが重要です。

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